来年のワールドカップはロシア開催。ロシアというと、サッカーでは欧州サッカー連盟(UEFA)の所属であり、遠い国のように感じられる。
しかし、ロシア極東部の中心都市ウラジオストクは日本海を隔てた日本の対岸であるほか、もっとも近い北海道最北端の宗谷岬とサハリン島の最南端クリリオン岬の間の距離はおよそ43km。間違いなく日本の隣国である。
そんなロシアとのサッカーを通じた交流プログラムが6月20日から29日にかけて実施された。
一般社団法人「EU JAPAN SPORTS」代表の三枝洋介氏のオーガナイズのもと、外務省の外郭団体である日露青年交流センター主催の日露青年交流事業として、ロシアの強豪ロコモティフ・モスクワのユースチームが来日。日露青少年の交流を目的とした高校生との交流会に加え、日本のサッカーチームとの親善試合がいくつか組まれていた。
その一つが、FC東京U-18との試合だ。興味深い対戦は28日、FC東京の練習場である小平グランドで行われた。
こちらがロコモティフのユースチーム。3日前には大学サッカーの強豪・筑波大学蹴球部のB1チームと対戦し、好試合を演じていた。
試合序盤、ホームのFC東京が相手のミスなどで早々に2点のリードを奪ったが、そこからはロコモティフがペースを握り1点を返す。鍵となったのは“デュエル”の強さだ。
ロコモティフは4-2-3-1をベースに、縦へのスピードと両サイドアタッカーの個人技を強みとする一方、最終ラインの連携に課題を残すチーム。全体の印象としてロシアらしいといえる特徴を持っていた。ただ、16~17歳のチームながら体つきは良く、日本ではまず見られないような球際の激しさで圧力をかけ、相手のミスを誘発あるいはボールを奪い取った。
FC東京の選手は見るからに戸惑いが感じられたが、そこは日本のユース年代トップレベルのチーム。時間の経過とともに相手のプレッシャーに対応。低い位置ではシンプルに繋いで相手をいなし、逆に高い位置では個人でも積極的に仕かけ、次々とゴールを奪っていた。
その結果、前半のスコアは5-1。ただ、内容的にはもっと競っており、FC東京側の決定力が光ったといえる。