1回戦の注目カード
それでは、私が選んだ1回戦の注目カードを紹介しましょう。
【2】いわきFC(福島)-ノルブリッツ北海道(北海道)
<とうスタ、4月22日(土)13:00KO>
アンダーアーマーの日本総代理店である株式会社ドームが運営を全面サポートし、新たなビジネスモデルのJクラブになるかと注目されるのが、このいわきFC。湘南ベルマーレ強化部長からクラブ運営会社の代表取締役になった大倉智の下で体制整備が進み、同じく元ベルマーレの田村雄三監督が指揮するチームは福島県予選の決勝でJ3の福島ユナイテッドを2-0で下し、創立5年目で天皇杯本戦に初出場しました。今年最大の目標は、昨年は準々決勝で敗れた全国社会人サッカー選手権で上位に入り、その後の地域リーグCLを突破してのJFL昇格でしょう。
一方はノルブリッツ北海道。前身の北海道電力サッカー部を含めて北海道リーグ優勝18回と、間違いなく道内最強のアマチュアチームです。天皇杯出場も6回目ですが、今まではどうしても他県の壁を抜けませんでした。今回、本大会初勝利を飾れば2回戦で初めてコンサドーレ札幌との「北海道対決」が実現するのですが、そこでこの強敵と当たる事になりました。
もちろん、福島は震災と原発事故からの復興という大きなテーマがあり、原発への対策拠点となっていたJヴィレッジも天然芝を再び植えて2018年の営業再開を目指している最中。田嶋会長もここに行くと明言していました。
【5】AC長野パルセイロ(長野)-鈴鹿アンリミテッドFC(三重)
<長野U、4月22日(土)13:00KO>
4年前と昨年の2度も名古屋グランパスを倒し、ジャイアントキリングの常連になりつつある長野パルセイロですが、この1回戦では狙われる側になります。
ユニスポンサーの「お嬢様聖水」が話題にもなった鈴鹿アンリミテッド、昨年はヴィアティン三重と公式戦で5度も対戦しましたが、唯一の敗北が地域リーグCL。これで向こうにJFL昇格を許しました。しかし、今年の三重県予選決勝ではこの宿敵を延長後半の決勝ゴールで2-1と下しました。JFA記者会見で松崎氏にこの勝利を「ジャイアントキリング」と呼ばれたのは、鈴鹿にとっては不本意でしょう。本当のアップセットは、このJ3の強豪を倒してこそ感じられるはずです。
【9】ブラウブリッツ秋田(秋田)-国士舘大学(東京)
<A-スタ、4月22日(土)13:00KO>
昨年2回戦の川崎フロンターレ戦では見事なゴールとサポーターのなまはげ&竿燈で等々力の観客を驚かせたブラウブリッツ秋田。前身のTDK以来、秋田県のサッカーでは圧倒的な存在で、本大会16年連続出場はガイナーレ鳥取の18年に次いで都道府県代表では2番目の長さ、J2の22クラブでも秋田の24回出場を上回るチームは7つしかありません。
一方、町田のJ2昇格とユース勢の大会不参加があっても勝ち抜くのが大変な東京都予選。強豪の国士舘大学も9年ぶりで、初出場のいわきとアスルクラロ沼津を除けば最も本大会から遠ざかっていたチームでした。関東大学リーグ1部の常連だったのが、昨年は大不振で40年ぶりの2部降格となった今シーズン、決勝では1部の明治大学を倒して復活への足がかりを作りました。
署名活動中のスタジアム改修でJ2への環境を作りたい秋田と卒業後は多くの選手がプロへ進む国士舘、どちらもそれぞれの「上」を目指した対決です。