『Rudaw』は、「アルビール、ザーホーの2クラブがイラク・プレミアリーグから撤退することを宣言した」と報じた。
先日行われたAFCカップでアル・クーワー・アル・ジャウィヤーが優勝を果たすなど、徐々に力を取り戻しつつあるイラクリーグ。
ところが、ここに来て民族的対立によって2クラブが撤退を余儀なくされるという難しい状況に直面しているようだ。
アルビール、そしてザーホーは、クルド人が多く在住する地域に本拠地を置くクラブ。イラクのトップリーグに所属する中では、その条件に該当するのはこの2チームだけである。
サッカーにおいては民族の違いがそれほど大きな問題になっておらず、ザーホーもアルビールも長くリーグで恙無く戦ってきた。
ところが、今季は大きな問題に発展している。
先日行われたアル・ナジャーフ対アルビールの試合では、ホーム側のサポーターが「ペシュメルガ(クルド地域自治政府の軍事組織)はISISだ」「アルビールはISISだ」という差別的なチャントを歌ったのである。
むしろペシュメルガはISISに対して攻撃を仕掛けている組織であり、先日のモースル攻略戦にも参加している。
サッカーと関係がないこれらのチャントを聞いたアルビールの選手は、後半途中でこれ以上プレーすることを拒否するという決断を下した。
選手たちは「中止すると命の危険がある」と考えて後にピッチに戻り、最後までプレーを続けているが、試合は1-0でアル・ナジャーフの勝利に終わっている。
そして、試合の終了後にアルビールとザーホーの首脳陣が会談の末、「サポーターの中傷を止める方法がない」としてリーグからの撤退を決断したという。
イラクサッカー連盟は現在アル・ナジャーフへ重い処分を科すことを検討している他、アルビールへの謝罪を行い、両チームを説得するために動いているとのことだ。