ポストシーズン重視の順位決定-2本立てはバスケ界の標準?

バスケとサッカーという種目を別にして、BリーグがJリーグと最も大きく違うのは「地区制」と「ポストシーズン」が全面的に取り入れられている点です。レギュラーシーズンで全勝しても年間王者への道はあまり変わらず、最下位に終わっても1部残留のチャンスがあります。

B1はJ1と同じ18チームですが、これが6チームずつ東・中・西の3地区に分けられます。そして各地区の2位以内、そして各地区3位以下の中から成績上位の2チーム(ワイルドカード)、合計8チームが「必ず」チャンピオンシップ(CS)に進出します。ここからはホームアンドアウェーで準々決勝と準決勝を行い、最後に中立地の一発勝負で年間王者を決めるのは、今年の途中で名前の変わったあの「ルヴァン杯」と同じですね。

ちょっと乱暴ですが、J1にあてはめましょう。2ndステージ12節、全29試合終了時点での年間順位を使いました。

<表1>B1方式での地区制・チャンピオンシップ(CS)進出チーム仮想

<表1>の通り、現実のJ1ルールだと3チームしかないCSに必ず8チームが進むため、中位グループの可能性が大きく広がります。特に中地区2位になる横浜F・マリノスは、残り5試合でFC東京との勝ち点差6・得失点差16を追いつかれない限り、CS進出が濃厚です(勝ち点差11の磐田に抜かれないことも必要)。また、ワイルドカード争いでは大宮と勝ち点差が8の鳥栖や9の仙台にも十分に逆転する可能性があります。

一方、B1からB2への降格では、地区を通算した全18チーム中での順位が重要になります。ただ、これもプレーオフが設定されていて、15位以下の4チームでのトーナメント戦で優勝すればB1残留、準優勝なら入れ替え戦でラストチャンスをもらえます。そのB1・B2入れ替え戦に出てくるのも、やはり18チームの3地区制で争われるB2の各地区優勝チームとワイルドカードを加えた4チームの昇格プレーオフで3位になったチーム。とにかくポストシーズン重視が徹底された順位決定方式です。

Jリーグは運営側にもサポーター側にも「1シーズン制が世界標準」という意識が強く、昨年に復活させたCSも『DAZN』との契約による放映権料の急増を背景にして来シーズンの取りやめが協議されています。

しかし、バスケではこちらが常識。各企業チームで行われていたかつての日本リーグでも1988年から採用され、アメリカのプロリーグ、NBAでは前身組織の最初のリーグ、1947年から「ファイナル」を実施しています。「年によって地区が変わる可能性のあるチームができる」「15位以下が確定すると残留プレーオフへの調整試合になってしまう」という懸念は、バスケのブースター(ファン)はあまり気にしないのかもしれません。

第1回のコラムは、ひとまずこれまで。

次回以降、Bリーグ全体のシステム、本拠地の比較、各クラブの事情など、いろいろと踏み込んでみようと考えています。どうかお楽しみに!

筆者名:駒場野/中西正紀

サッカーデータベースサイト「RSSSF」の日本人メンバー。Jリーグ発足時・パソコン通信時代からのサッカーファン。FIFA.comでは日本国内開催のW杯予選で試合速報を担当中。他に歴史・鉄道・政治などで執筆を続け、「ピッチの外側」にも視野を広げる。思う事は「資料室でもサッカーは楽しめる」。

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