EURO2016に出場するアイスランドは、人口32万(2013年時)の小さな島国である。同国はユーラシア大陸から離れている大西洋上の離島であり、火山の噴火や金融経済危機などで国家危機に直面したことがある。
なぜ人口、地政学、経済的にも大きなハンデがありながら、強豪国を倒してEUROに出場できたのだろうか?それは、独自の育成方法に起因するからだ。今回は、アイスランドの育成について追求していく。
スタジアム観戦率がトップクラスに高い
アイスランドは欧州の中でもサッカー人気が非常に高い。1試合あたり平均観客数の人口に占める割合が4.4%と高く、イングランドの2.5%を大きく上回る。
年間の合計観客数も1万3000強であり、アイスランド国民の約30人に1人が年1回スタジアムで観戦している。
この数値は欧州でスタジアム観戦率が最も高いキプロスに次ぐものだが、キプロスは情報源が不明確なものが多いため実質アイスランドがトップクラスであると考えられている。
アイスランドサッカーリーグ(以降ウルヴァルステイルト)は全所属クラブがセミプロクラブであり、ほぼ全てのプレイヤーが兼業しながらサッカー選手として所属している。
さらにアイスランドの競技者人口は3万2408人(うち登録競技者が67%。日本は22%)である。そのため職場の同僚や近所のお兄さんがアイスランド代表選手ということもありえるのだ。生活にサッカーが溶け込んでいることがわかるだろう。
また、ウルヴァルステイルトはエンターテイメント要素があるリーグとなっている。
例えば、愉快なゴールパフォーマンス(槙野を中心に広島でインスパイアされていた)や2012年キリンチャレンジカップ対アイスランド代表戦でわかせたステインソール・ソルステインソンのハンドスプリングスローなどだ。このようにプレーだけではなく、観客をわかせる“演出”も大きな特色となっている。