もともとベティスのサポーターは熱狂的であると知られている。
この日は平日であったのだが、クラブのレジェンドでもあり2004-05シーズンにコパ・デル・レイのタイトルをもたらした英雄を歓迎しようと、2万以上のファンがスタジアムのメインスタンドに集まったのだ。
緑と白にユニフォームに再び袖を通せたこと、またベティコからの歓声を耳にできたことがよほど嬉しかったのだろう。
ホアキンはまるで少年のような笑みでエンブレムにキスをし、ファンに愛情を表現した。
そして…
ファンへの挨拶では思わず涙。
この後、ホアキンは再び笑顔を取り戻しリフティングやマタドールといったパフォーマンスでサポーターとの再会を喜んだ。しかし、その歓声に再び感情を抑えられなくなり、ピッチを後にする頃には…
ホアキンはサポーターからの万雷の拍手を背で受け、涙を拭いながらファンの前から去って行った。
かつて、入団セレモニーで涙した選手が一体どれほどいたのだろうか?キャリアを重ねた34歳の涙。それが意味するのは、クラブへの底知れぬ愛に他ならない。
ホアキンという選手のベティス愛、そして偉大なる名ドリブラーの凱旋を心待ちにしていたベティコとの相思相愛ぶりが目に見える素晴らしいシーンであった。