熱狂的なサポーターを持つことで知られるドルトムント。
ホームスタジアムであるジグナル・イドゥナ・パルクは8万人規模のスタジアムであるにもかかわらずその収容率は欧州でもトップクラスであり、相手チームを委縮させる独特の雰囲気がある。
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— Borussia Dortmund (@BVB) 2015, 8月 2
さて、そんなドルトムントのホームゲームでは、サポーターにより応援に集中してもらうためある試みが行われるのだという。
アメリカでスポーツマーケティングの教授を務めるダリン・W・ホワイト氏によれば、それはスタジアムWi-Fiのスピードであるという。
人が密集するサッカースタジアムでは、携帯電話のネットワーク回線が集中するため通信障害が発生しやすくなる。Jリーグの試合や日本代表戦などでも、「ハーフタイムになるとスマートフォンが繋がらない!」という経験をした人も少なくないだろう。
欧州にはWi-Fiの文化が根付いているため、スタジアムにWi-Fiが通っていることが多い。これにより、数万人が集まるスタジアムでも快適にインターネットを利用することができ、インタラクティブな試合観戦が可能になるのだ。
しかし、そのネットワーク環境が逆にチームに悪影響を与えるのではないかと考えたのだがドルトムントだった。と言うのも、高速Wi-Fiをスタジアムに敷くことでサポーターは目の前の選手ではなくスマートフォンの画面により注目してしまうのではないか、というのだ、
考えてみれば、確かにそうである。ソーシャルメディアの台頭により、サッカーファンの試合観戦のスタイルは変わった。「リアルタイム」という価値観が高まり、サッカー観戦を通じて誰かと「繋がる」ことが重要になっているのだ。そのため、スタジアムで発生した出来事などは即座にインターネット上に投稿され、瞬時に拡散されるようになった。高速Wi-Fiとは、それらを後押しする最高の環境なのだ。
そこでドルトムントは今シーズンから、試合中にスタジアムWi-Fiの通信スピードを意図的に落とすことにしたのだという。目的はもちろん、サポーターにより応援に集中してもらうためである。
スタジアムWi-Fiは、サポーターの満足度を上げるための施策であったはずだ。しかし、それを導入することで応援の声量や熱量が減ってしまうようでは本末転倒であろう。こうした背景があれば、サポーターも納得する・・・はず。