第一の理由にマンチェスター・ユナイテッドに所属するアントニオ・バレンシアの欠場だ。
バレンシアは30人の予備登録メンバーに含まれていたが、23人の発表を数日後に控えた先月25日、事前の報告なしに足首のボルトを除去する手術を行った。
代表キャプテンも任されてきたバレンシアだが、彼はコパ・アメリカよりユナイテッドでの新シーズンを選んだのである。近年、クラブに比べると代表での出来は低調だったとはいえ、同国を象徴する選手の離脱は新指揮官にとって予想外のことであった。
続いて怪我人の多さも深刻だ。
中軸FWのフェリペ・カイセドが負傷により招集の時点で外れ、その後もメナ、アローヨが離脱。さらにカイセドの代役を期待されていたハイメ・アジョビも直前に負傷し、攻撃陣ばかり5人が怪我で欠場する緊急事態となっている。
伝統的に優秀なサイドアタッカーを輩出してきたエクアドルにはスウォンジーのモンテーロ、フィテッセのイバーラ、“エクアドルのネイマール”ことフィデル・マルティネスなど、負傷者が続出している今大会も駒は揃っている。
サイド以外にもボラーニョス、アルゼンチンで活躍するカサレスらは今後が期待される才能豊かなタレントだ。しかしモンテーロを除くと国際舞台での経験が乏しく、あまり計算を立てられないのが実情である。
そんななかでの強みは、まずかつての教え子が豊富なことであろう。
現在・過去まで含めると、23人中実に8人がエメレク時代の教え子である。今やエクアドル代表の顔の一人ともなったエンネル・バレンシアも、キンテーロス監督のエメレク時代に評価を高めている(ただ当時は主にウィングで起用された)。
守備の陣容もルエダ体制から大きな変化はなく、大崩れすることは考え難い。組み合わせに恵まれているため、1997年以来となる決勝トーナメント進出の可能性はある。
ただエクアドルはコパ・アメリカに滅法弱く、実は突破はおろか2001年以来勝利したことさえない。その状況を考えるとまずは1勝、10月から始まる2018年W杯・南米予選に向け、チームの土台を構築できれば御の字ではないだろうか。