ちょうど一か月ほど前に危惧していたことが現実のものとなりつつある。
それは準決勝でCLから締め出された姿を見ればいくらか想像できることかもしれない。
勿論怪我人の多さには同情するが、いつまで経っても改善されないカウンター対策と試合中の無策ぶりには、ハインケス時代の栄華を目にしているバイエルンファンには我慢の限界だろう。
確かにバルセロナ戦のファーストレグ、77分間までは見事な戦術で耐えた。守備を固め、レヴァンドフスキとミュラーの強力なツートップで何とか虎の子一点を狙いに行く。悪いアイディアではない。
しかし、あのメンバーでは10回試合したら8,9回はあの結果になるだろう。守備が破綻するのは時間の問題だった。メディアの論調は決まって「メッシがすごすぎた」、「やはりメッシはメッシだ」というものだったが、そんなことは百も承知だろう。メッシをあそこまで進歩させたのは他でもない現在バイエルンのベンチに座っていた男なのだから。
また試合前に準備してきたプランを崩された後のペップは決まって無策だ。
この試合でも先制された直後の交代は理解しがたいものだった。数少ない可能性を見せていたミュラーに代えてここのところ不調が続くゲッツェ。それはW杯決勝での奇跡を私にも見せてくれとすがるような采配にしか見えなかった。ミュラーも「こんなのはもううんざりだ」と指揮官の前で口をついて出てしまったのも無理はないだろう。
ベンチには長身のハビ・マルティネスやジョーカーとなり得るベテランのクラウディオ・ピサロもいた。ポルトとのセカンドレグで活路を見出したロングボールという選択肢はなかったのか。トータル180分で見て、先制された時点で傷口を最小限に抑えるという方法はなかったのか。
確かに「Herr Guardiola」の著者マルティン・ペラルナウが言うように「そこで信念を曲げてしまってはペップはペップではなくなる」のかもしれない。しかし筆者から言わせてもらえば、ロマンを追い求めやり方にこだわり無様に負けるようでは中堅クラブの監督となんら変わらない。ビッグクラブの監督としての責任を見せるべきだ。
あなたが言うように「あなたたちはバイエルン・ミュンヘンなのだ。」