ベンテケがハーフウェーラインからボールを運ぶ時、その前方には相手GKロバート・グリーン以外誰もいなかった。しかし、ボールを運ぶ最中に後方からDFクリント・ヒルがやって来る。
ベンテケがペナルティエリア付近に到着した時、選手の位置関係はこうなっていた。
ベンテケから見て、1対2。文字通り「数的不利」である。しかし、ベンテケはこの状況からいとも簡単にゴールを奪ってしまう。
この状況でDFヒルは中を切ろうとする守備を見せているにもかかわらず、ベンテケに切り返しを許してしまう。
ディフェンダーにとって、アタッキングサードにおいては相手選手を外へ外へと逃がしていくことが守備におけるセオリーだ。ここでは数的優位であるため、ベンテケがゴールする可能性が低い方向へとGKとDFで追いやっていくべきである。
そのため、セオリーとしてはDFヒルが中を切ってベンテケを前進させ、コースをある程度限定した状況でGKグリーンに守備をさせる、という選択が考えられる(もちろんセオリーであるため、他にも考えられる守備方法はある)。
しかし、ヒルはいとも簡単にベンテケを反転させてしまった。このゴールにはヒルのこうしたミスも絡んでいるのだが、ここでは一旦それは置いておく。
重要なのは、ヒルが反転を許した後、ベンテケが取った選択だ。