先週末行われたプレミアリーグの試合では、全ての会場で“祈り”の光景が見られた。

第一次世界大戦の停戦記念日として知られるRemembrance Dayを前に、各会場で1分間の黙祷が捧げられたのだ。

両チームの選手たちは一列に並び、犠牲になった戦没者に向け哀悼の意を捧げる。昨日、錦織圭とATPワールドツアーファイナルを戦った英国人アンディ・マレーの肩にもポピーの花びらがデザインされており、英国中が過去の悲しき記憶を共有し、その戒めを忘れないと誓い合ったのである。

そんなこの日、英国で撮影されたある少年の写真がちょっとした話題となっている。

アーセナルファンの父親のもとに生まれたこの少年は、イングランドのサッカーファンである。現地時間8日の夜も自宅でサッカー選手のフィギュアで遊んでいたところで、アーセナル対チェルシーの試合を“再現”していたようだ。

そんな少年が、ふいにフィギュアをピッチ中央へと並べだす。気になった父親は愛息子に何をしているのか尋ねたのだが、次の瞬間、こんな返事が返ってきたという。

「静かにしてよ、パパ。今は黙祷の時間なんだ」

そう、この少年はプレミアリーグの試合同様、フィギュア遊びでも黙祷の時間を再現したのだ。持っている限りのフィギュアを並べ終えると、この少年はおもむろに立ち上がり、後ろに手を組み俯いた。そう、少年自身も黙祷を始めたのである。この様子を撮影した父親の写真が英国の様々なメディアに紹介され、現在注目を集めているのだ。

この少年がRemembrance Day、ひいては黙祷の意味合いを理解していたかは分からない。しかし、普段から接しているサッカーからこうした文化や風習を学んでいたのだとすれば、それはこの上なく重要なことであろう。仮にこの時点でその必要性を感じていなくても、いずれ全てを知る時が来る。サッカーが文化として根付いているとは、おそらくこういうことを言うはずだ。

ちなみにこの後、あまりの反響の大きさからかこの父親は少年からのメッセージを動画で紹介した。

先日遊んでいたサッカーコートを背景に、写真を見てくれた全ての人への感謝を述べるブリティッシュボーイ。その胸には、「いたわり」や「思いやり」の花言葉を持ち、Remembrance Dayの象徴でもあるポピーの造花が飾られていた。

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