セリエB第6節を終えて4勝2分勝ち点14と首位を快走しているチームがある。ウンブリア州をホームタウンとするペルージャだ。
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— A.C. Perugia (@ACPerugiaCalcio) 2014, 9月 25
1998-99シーズンにセリエA昇格を果たした同チームは日本代表MF中田英寿を獲得、ガウッチ一族の剛腕な手法や中田やラパイッチといった選手たちの活躍もありセリエA残留を果たすと一躍日本でもお馴染みとなった。だが、中田英寿がいなくなってからのチームはあまり知られていない。
2000年前後のペルージャはミラン・ラパイッチ、マルコ・マテラッツィ、ファビオ・グロッソ、ファビオ・リヴェラーニ、ファブリツィオ・ミッコリ、ゼ・マリアといった後のワールドカップでも活躍する選手もちらりほらり。国外、もしくはセリエB、セリエCから光る選手を見つけてきては、代表クラスに育ててあげて売るが当時の手法であった。セルセ・コスミ監督(当時)のもと、セリエAで中堅とも言える戦いぶりを続けてきたチームは、2003-04シーズンにUEFAカップでもプレーした。しかし、同シーズンはその欧州カップ戦との併用がたたってか調子があがらず、4-2-3-1フォーメーションに変更するもセリエB降格の憂き目にあってから、再び表舞台に復帰するまでには長い闘いがあった。
2度の破産
2004-05シーズン、セリエBで再出発となったペルージャはセリエBを3位で終えプレーオフに進出した。プレーオフでは敗退したものの、当時のセリエA、セリエBでは破産や八百長が横行、順当にいけば”繰り上げ”で昇格が決まるはずだったが、ペルージャ自身も借金を期限内に返せず破産。繰り上げ昇格どころかペナルティでセリエC1降格となった。
ガウッチ一族から受け継いだ新経営陣のもとで再スタートしたペルージャだが、セリエC1では毎年上位には食い込むもののセリエBにはあがることができず。2009-10シーズン終了後に二度目の破産となり、セリエD降格となった。その破産したチームを2010年夏に買い取ったのがロベルト・ダマスキである。ダマスキのもと、チームはセリエDからセリエC1、そして今シーズンセリエBと着実に一歩一歩、かつての栄光を取り戻そうとしている。
今のペルージャは、かつてのACペルージャ(Associazione Calcio Perugia SpA)ではない、経営陣の刷新と共にペルージャ・カルチョ(Perugia Calcio SpA)、A.S.Dペルージャ(Associazione Sportiva Dilettantistica Perugia)となり、2011年に再びACペルージャ(とはいえ正式名称は少し違うAssociazione Calcistica Perugia Calcioである)へと変更している。
とはいえ、チーム名は変わっても魂までは変わっていない。かつてペルージャに所属していた選手が、舞い戻ってくることが多いのもこのチームの伝統である。2003-04シーズンに"シルバーフォックス"の愛称で知られるイタリア代表FWファブリツィオ・ラヴァネッリが1989年以来復帰したのと同じ様に、セリエBに落ちてからも、名称が変更されてからも変わることはない。2002年まで所属し、一部のファンから"バンビ”と呼ばれた細身のレジスタMFファビオ・ガッティは2008年から2010年までセリエCでプレーした。
レンタルとベテランの融合
現在のペルージャは10人以上ものレンタル選手と、かつてのセリエA黄金期を知るベテランによって構成されている。ガウッチ時代とは健全なチーム運営のもと、チーム得点王のFWディエゴ・ファルチネッリはサッスオーロからのレンタル組、ミラン、ローマ、ラツィオ、フィオレンティーナとビッグクラブから若手選手を借りて育てて返すというのが今のチームの柱となっている。
脇を固めるベテランも渋い。キャプテンのDFジャンルカ・コモットはかつてトリノ、フィオレンティーナなどでプレーし”快速コモット”の異名をとった。レッジーナ時代は、日本代表MF中村俊輔ともチームメイトであったので日本でも知っているファンは少なくないだろう。元ウルグアイ代表MFのギジェルモ・ジャコマッツィはレッチェ、10番を背負うMFロドリゴ・タッデイはローマ、センターバックのマルコ・ロッシはパルマで長い間プレーした経験の豊富な選手たちである。
第6節を追えて失点3はリーグ最少、しっかり守って地道に点を取っていくというスタイルは首位らしくないかもしれないが、今の経営方針と似ているかも知れない。
まだまだシーズンは序盤だけに冬までこの勢いが続くかはわからない。しかし、日本に馴染みのあるチームの活躍は少し気になる存在である。
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