【これから直面するスペインの課題】

地元のバレンシアで華々しく結果を出したパコ・アルカセルとは対照的に未だに9番の位置で目に見える結果を齎していないジエゴ・コスタの起用についての議論は一先ず先送りになった。

人から人にボールを渡し連動していくポゼッションサッカーの枠組みよりもスペースにて天性のスピードとパワーで直線的な働きを見せるジエゴ・コスタが今のところはスペイン代表にハマる可能性は残念ながら見えてこない。

従来の横幅を生みだす4-3-3やセスクを用いるゼロトップ・システム、そして今回用いたペドロとパコ・アルカセルといった裏抜け名人を2枚前線に置いたダイヤモンド型布陣。圧倒的なポゼッションで相手の選択肢を減らし、多彩なオプションを持って引いた相手を攻略する術を磨いていくスペイン代表にとって広いスペースで高い存在感を発揮するジエゴ・コスタは確かに異質な存在になりつつある。

そのジエゴ・コスタをどのように代表に馴染ませていくか。未だに連携面含めてその解決策に光は射さない状況だが、“ このスペイン人”がオプションとしてハマったその時、スペイン流のハイブリッドなチームが完成するような予感を筆者は感じざるをえない。

また、W杯でブラジルやチリの採った相手を窒息させるようなマンツーマンディフェンスを採用するインテンシティの高い相手がその 眼前に再び立ち塞がることがあるだろう。W杯では前線のジエゴ・コスタを目掛けてロングボールを蹴ることで回避しようと試みたが、次はどのようして対策を採るか非常に興味深いスペインの課題でもある。

恐らくはマケドニア戦で見せたコケの動きをチーム全体に落とし込んで、ドイツ代表のようにマンツーマンの基準とポジションをずらしていくのだと思うが、こればかりはデル・ボスケの手腕次第である。それともまたドイツとは違う新たな可能性を見せてくれるか。無敵艦隊を率いるデル・ボスケに否応が無く期待は集まる。願わくば、壮大な交響曲を奏でるようなオーケストラを彷彿とさせる優雅なフットボールを見せ、再び時代の風雲児として我々を楽しませてほしいものだ。


筆者名:古家政夫

プロフィール:初めてフットボールに触れたのは98年仏W杯から。Jリーグ、プレミアリーグ、リーガ・エスパニョーラ、セリエA、エール・ディヴィジを観戦する日々を送る。各リーグに好きなクラブが存在する為、困ったことに『心のクラブ』が一つではない典型的なミーハーを自負する。
ツイッター: @505room

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