6月1日、スペイン代表監督を務めるビセンテ・デル・ボスケ氏が『El Pais』のインタビューに答え、「ドレッシングルームが健全であることは、戦術を100時間以上考えるよりも価値がある」と話した。
かつて『銀河系』と呼ばれたスター軍団レアル・マドリーを率いていた経験を持つビセンテ・デル・ボスケ氏。個性の強い選手たちをまとめてきた実績を持つ彼は、グループが幸福であることの重要性を強調し、諍いの無益さを説いた。
ビセンテ・デル・ボスケ スペイン代表監督
「選手たちは子供だ。その父親と、母親のね。彼らをうまく活かすことが、多くの成功をもたらす。もっとも重要なのは、グループに人間性を持たせること。彼らがどこからやってきたのか。謙虚さを思い出させるのだ。
チームは11人しか同時にプレーすることが出来ない。グループは23人だ。そこには、必ず『嫉妬』が生まれてくるものだ。
もしあなたがスポーツ上の戦略を作り上げ、目標を設定したとしても――『嫉妬』によって打ち砕かれる。
健全なドレッシングルームを持つことは重要だ。それは100時間以上戦術を練り上げること以上に価値がある。構成員が幸福であることは、どんなビジネスにおいても良いものだ。
フットボールにおいて、もし選手たちが幸福ならば――我々は勝つよ。
徳を賞賛されるべき人間は誰もいない。我々は皆不完全な存在だ。もちろん、私はそうなるための道を探そうとするわけであるが、そういう見解は持っておくべきだ。我々は皆、不機嫌なときもあるわけだからね。
私も、他の人と同じように腹を立てることがある。しかし、それは自分の姿を見せるだけで十分に感じ取れることを知っている。諍いは物事を遅らせるのだ。
また、感情的になる人間のリーダーシップは、どんな場所であっても効果を表さない。それは無益だ。説得力がなければならないのだ。
選手がフットボールに誠実でない時、私はそれを気に入らないと感じる。フットボールは我々の人生に大きなものを与えてくれた。我々はより愛情を持たなければならない。
私は選手たちに命じてきた。自分がどうやってここまで来たかを忘れるなと。人間にはエゴがある。しかし人生は長く、多くの曲がり角があるものだ」