16位 ハル・シティ @hullcityteam
スティーブ・ブルースは、やはりそこそこ偉大だった。こいつは駄目だ→イケるやん!を繰り返すことで知られるイングランド人指揮官は、エレベータークラブを見事に残留に導いた。正直降格したクラブと比べてもスーパーなタレントは不足しているような気もするのだが、上手いこと少ない駒を活用して、きっちりした守備でコツコツと貯金を貯めていった印象が強い。なんか地道にアーセナルとのFA決勝にも進出しているので、ムッシュのタイトルを眼前で奪い去る何かを起こしてくれないかと期待する人々も多いだろう。チーム最多得点者が両方冬に加入したイエラビッチとロング(4点)での残留ということで結構おかしなことを成し遂げた感がある。比較的他国と比べたら潤沢な資金力を生かして降格圏のチームも選手を買いまくるプレミアリーグにあって、そこそこの投資でキッチリ残留。15位から20位の間では一番良くやったクラブなのではないだろうか。後、スティーブ・ブルース監督の顔写真付きトイレが発売された。
PICK UP PLAYERS
カーティス・デイヴィス
強豪ですらアホみたいに破綻する傾向にあった「守れないプレミアリーグ」、にあって守りを引き締めた知られざる逸材。以前イングランド代表に一瞬選ばれたりもしていたらしいが、勿論記憶にはない。29歳、225万£という格安の移籍金で加入した男は、チームMVPだけでなくWhoscoredの統計から選ぶイングランド人ベストイレブンにも名を連ねた。こんなにコストパフォーマンスがいい選手はなかなか出ない。バナナみたいなやつである。
ジェイク・リバモア
トッテナムでは、そこそこに纏まった若手の1人でしかなかったボランチが、ハルでは躍動。攻守に闘える選手であることを示すだけでなく遠距離砲で違いを見せ3得点。貧打に喘ぐチームを救う働きを見せた。トッテナムに帰るよりも、残った方が出番的には幸せなような気がしないでもない。
トム・ハドルストーン
リバモアと共に、トッテナムからやってきたアフロ。トッテナムではキャリックと比較された才能を錆びつかせていた。以前は髪形が面白くてテクニックがあるだけの選手だったが、やっとこハル・シティという舞台で独り立ちした感。髪を切るという失恋した女の子のようなイベントをこなし、ふらふらとしていた以前の自分から卒業した。守備ではキッチリ中盤の底を支え、リバモアに自由を与える姿には安心感があった。
ニキツァ・イェラヴィッチ
小器用な仕事がこなせない1980年代臭のする純粋なストライカーは、ロベルト・マルティネスのエバートンでは居場所を失った。そんな彼を冬に拾い上げ、チーム得点王にまでしてしまうブルースの再生工場っぷりは見事。ピューリスやアラダイスと同じように、イングランドの叔父様指揮官には、こういう魅力もあるのである。無骨な職人肌は指揮官の信頼にプレーで応え、ハル・シティの残留に貢献した。
筆者名:結城 康平
プロフィール:「フットボールの試合を色んな角度から切り取って、様々な形にして組み合わせながら1つの作品にしていくことを目指す。形にこだわらず、わかりやすく、最後まで読んでもらえるような、見てない試合を是非再放送で見たいって思っていただけるような文章が書けるように日々研鑽中」
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