3月10日にケーズデンキスタジアム水戸で行われたJ2第2節対カターレ富山戦で、今シーズン初勝利(スコアは1-0)を手にした水戸ホーリーホック。強風が吹き荒れる難しいコンディションの中で光ったのが、「地元茨城県出身のベテランの存在感」であった。今回の当コラムでは、ホーリーホックの屋台骨を支える2人のベテランにスポットライトを当てていきたい。
・チーム随一の運動量を誇る鈴木隆行
冒頭でも触れたように、難しいコンディションの中で行われたカターレ富山戦で値千金の決勝点をマークしたのが、チーム最年長の鈴木隆行だ。
日立市出身の鈴木が得意とするのは、「周りを活かすポストプレー」である。鈴木の強靭なフィジカルはまさに“無敵”と言っても過言ではなく、その巧みな位置どりも相まったポストプレーは名人芸の域に達している。ホーリーホックが誇るアタッカーの小澤司、山村佑樹らが良さを存分に発揮できるのは、ゴールキックやくさびのパスを確実に落とせる鈴木のポストプレーに依るところが大きい。
また、前線からの激しいプレスも鈴木の持ち味のひとつであり、そのチーム随一の運動量は今年の6月で37歳を迎えるとは思えないほど豊富なモノだ。コンパクトな守備を標榜する柱谷哲二監督にとって、攻撃だけでなく、守備の局面でもチームのために汗を流せる鈴木の存在は欠かせないだろう。
2002年に行われた日韓ワールドカップのベルギー戦でゴールを挙げ、ベルギー、セルビア、アメリカでプレーするなど、輝かしい経歴を誇る鈴木だが、高校卒業後に入団した鹿島アントラーズではなかなか出場機会に恵まれず、ジーコが会長を務めるCFZ・ド・リオ(ブラジル)、ジェフユナイテッド市原、川崎フロンターレを転々とした時期もあった「苦労人」でもある。酸いも甘いも知っているベテランは、J1昇格を目指すチームの精神的支柱として、これからもホーリーホックを引っ張って行くはずだ。
・長年守護神として君臨する本間幸司
3月3日に行われたザスパクサツ群馬との開幕戦で、史上初となるJ2通算450試合出場を達成した本間幸司(関連リンク:http://www.mito-hollyhock.net/www/news/index.cgi?page=2&field=1)もチームの精神的支柱兼キャプテンとして不可欠な選手である。
1学年上の鈴木と同様に日立市出身の本間は高校卒業後、浦和レッドダイヤモンズに入団。だが、思うように出場機会を得られず、1999年のシーズン途中に当時JFLに所属していたホーリーホックへと新天地を求めると、以後14シーズンに渡ってホーリーホックのゴールマウスを守り続けている。
筆者はホーリーホックの試合を幼少期から観戦しているが、幼かった筆者に優しく接し、サインをくれた本間の姿を今でも覚えている。常にサポーター、チームの事を考え、コンディション管理を怠らない本間の存在感は群を抜いており、まさに“Mr.ホーリーホック”と呼ぶにふさわしい。
カターレ富山戦では、相手の決定的なチャンスを幾度となく防ぎ、完封勝利に貢献した本間。J2の最多出場記録を更新中のこの守護神を中心に守備陣が安定すれば、J1昇格が見えてくるだけに、本間にはこれからもハイパフォーマンスを披露していただきたい。
2013/3/14 ロッシ
筆者名:ロッシ
プロフィール:エル・シャーラウィ、ネイマール、柴崎岳と同世代の大学生。鹿島アントラーズ、水戸ホーリーホック、ビジャレアルを応援しています。野球は大のG党。
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