過去2シーズン、ベンフィカ、フィオレンティーナ、サントスとレンタル移籍を繰り返したケイリソン。かつて大きな期待と共に移籍した若者は、再びカタルーニャの巨人でチャンスを待つ事となった。

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ケイリソンがデビューしたのは2006年のコリチーバ。翌2007年にはリーグ戦で12ゴールを奪いチームの1部昇格に貢献し、2008年は21ゴールを奪って欧州で注目される存在となった。そして、2009年7月の名門バルセロナへの移籍決定。ブラジルの新星には輝かしい未来が待っていると思われていた。

しかし、待っていたのは栄光ではなく、下積みの日々。バルセロナに残ることすら許されず「出場機会を与える為」とレンタル移籍を繰り返す日々。ベンフィカでは半期でリーグ戦に5試合しか出場できず、フィオレンティーナへ。守備の堅いイタリアで10試合で2ゴールを奪うも、買取オプションは行使されなかった。2010年からは母国へ戻りサントスへ入団。しかし、注目されたのはケイリソンではなく、年下のニュースター、ネイマールやガンソ達だった。

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22歳となったケイリソンは再びバルセロナへ戻ってきた。本人は今季こそバルセロナに残留し、バルセロナでのキャリアを再開したいと考えている様だ。『Sport』紙のインタビューに答えている。

「バルセロナに所属しているし、ここに残りたい。ボクのゴールだからね。居場所を勝ち取る為に戦い、ここにいるべきである事をクラブに証明する事が目的だよ。しかし、クラブの話も聞かなければいけないね。最終的な決定はコーチが決めるからね」

再度レンタル移籍に出される可能性について尋ねられると、かつてはそれを受け入れて準備をしてきたと語ったが、彼は自信の望みはブラウ・グラーナのユニフォームを着る事であると繰り返した。

「クラブが決めるまで様子を見てみよう。だけどボクはブラジルからバルセロナへやってきた。ボクはここでプレーしたいし、ここで成長し続けたい。そして、ポジションを掴みたい。それが難しい事だってわかっているけど、不可能ではないよ。ハードワークし、努力していれば何だって起きるさ。このクラブでタイトルを勝ち取りたい。他のチームじゃないよ」

ケイリソンの去就についてはバルセロナBに所属するという情報もあるが現時点では決まっていない。本人が語る様に前線レギュラー陣は非常にレベルが高い。メッシ、ビジャ、ペドロの看板トリオにアレクシス・サンチェスが加わった。カンテラ育ちのボージャンでさえも出場機会を求めてローマへと移籍。オランダ代表のアフェライも控えで出番を窺っている。しかし、枚数的には充分とは言いがたく、残留して出番を待つ事も可能ではあるがグアルディオラ監督はカンテラからの登用することも多く、残留が必ずしも良い結果を生み出すとは限らない。

22歳という年齢を考えれば、試合でしか得られない経験を積むために出場機会を得られる道を優先するべきという声も多いが、ブレイク前の若手選手のレンタル移籍は、練習で実力を示して試合で結果を残さない限りは移籍先でも出番をもらえないケースが多い。何故ならレンタル選手はシーズン終了後にはレンタル元へ帰ってしまうからだ。「ならば移籍を!」と考えるのが次の選択肢だが、ケイリソンの様に高額な移籍金(1400万ユーロ)で加入した場合は、そう簡単に売却してもらえない。ケイリソンが陥ったこの様な状況は「フットボール界の袋小路」というべき状況であり、これまでに多くの才能ある若手選手達が同様の状況に陥ってきた。もちろんクラブが悪いと決めつけているわけではない。移籍する側と獲得する側の双方に問題があったと判断するのが妥当だろう。

袋小路に陥った選手の行方は様々である。地力で這い上がった者、遠回りして花開いた者。祖国へ帰った者。サッカーを諦めた者。ケイリソンはまだ22歳だ。高い決定力を誇り「ロマーリオ2世」として注目を浴びた10代の様に、再び注目を集める選手として是非とも輝きを取り戻して欲しい。

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(筆:Qoly編集部 N)

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