2011-12 欧州クラブの補強戦略を占う!! vol.5 (マンチェスター・U編)

日々、様々な移籍、退団の話が飛び交う中、Qoly編集部ではその情報を吟味した上で、大胆にも来季の欧州クラブの補強戦略を占ってみることにした。第五弾はマンチェスター・ユナイテッド編!!

今季を振り返る

イングランドで最多となる、19度目のリーグ優勝を果たしたマンチェスター・ユナイテッド。まだ、チャンピオンズリーグ制覇の可能性も残しているが、ここまでの今季のパフォーマンスに関しては賛否両論があるようだ。実際に、現地のサポーターなどは口ぐちにしているが、「今のユナイテッドにはかつてのような“強さ”はない。アーセナル、チェルシーら競合の取りこぼしに救われた」という意見。守備組織の成熟度を感じられたことなど、評価に対するポイントはいくつもあるが、それと同時に課題点がいくつも見つかったシーズンと言えるだろう。

来季を展望する

では、表面化してきた問題を挙げつつ、各ポジションの補強戦略を占っていこう。

まず、触れなくてはならないのが守護神問題についてだ。これはシーズン中に“見つかった課題点”というよりは、“起こってしまった課題点”というべきかもしれないが、これまでユナイテッドを最高峰で支えてきたエドウィン・ファン・デル・サールが現役引退を決断したことは大きな痛手である。アレックス・ファーガソンは、シーズン終了後に、再び彼と話し合いを行い、その進退について明確にする予定のようだが、このままではGK陣はトマシュ・クシュチャク、アンデルス・リンデゴーア、ベン・エイモスの三枚となる線が固い。だが、クシュチャクについては、ファーガソンが全幅の信頼を置いているとは言えず、リンデゴーアに至っては、その力を示す前に故障離脱。エイモスも将来性はあるが、毎年のようにローンに出されている状況。となると、ファン・デル・サールの歴とした後釜が必須となるが、事態の執着がなかなか見えてこないのが現状だ。一部ではアトレティコ・マドリーの若きゴールキーパー、ダビド・デ・ヘアの加入について合意に至ったとの報道もあるが、デ・ヘア自身が「国外移籍は時期尚早」と消極的なようで、交渉は停滞気味。スポルティングに所属するポルトガル代表GKルイ・パトリシオやマールテン・ステケレンブルフの名前も上がってきている。ライバルクラブであるリヴァプールから実力者のペペ・レイナを“強奪する”ケースは九分九厘ないだろうが、計算のできるゴールキーパー、言いかえるならば“レイナクラス”の新守護神を据えたい。

次に、DFラインだが、ここは特に補強の必要はなく、放出も噂されているパトリス・エヴラ、ウェズ・ブラウン、ジョニー・エヴァンズのやレンタル組のリッチー・デ・ラートの処遇をはっきりするだけで十分だ。ポルトのロランド、ブラックバーンのフィル・ジョーンズなど、加入が論じられているタレントも存在するが、このポジションに資金を投入するほどの余裕がこのクラブにはない。一方で財政とにらめっこしながら補強費を捻出しなくてはならないのが、中盤だ。ポール・スコールズの引退説が高まったことで、センターラインの強化は必須項目となった。今季は主にダレン・レッチャー、マイケル・キャリックがセンターハーフを担ったが、年々完成度が上がっているダレン・フレッチャーは良しとしても、キャリックについて満足感を示しているサポーターは決して多くないはずだ。ファーガソンは、フレッチャーのパートーナーは「パスセンスがあり、得点力のあるMF」を希望している様子で、ヴェスリー・スナイデルの引き入れを画策しているという話は実しやかに囁かれている。彼の入団が決まれば、中盤の構成力、得点力は飛躍的に向上は確実視出来、インテルではトップ下が定位置となっているが、元々はこのエリアを主戦場としていたため、ポジション適性についての不安もない。だが、ネックは3000万ユーロとも言われる移籍金で、負債とその負債の利子が膨らんでいるクラブの財政面を考慮すると、ややタイプは異なるが、ブラックプールのチャーリー・アダムや、「選手+移籍金」であれば交渉に応じるとも言われている俊英ジャック・ロドウェルなどの獲得に方針転換する可能性は高いだろう。許されるのであれば、崩しの局面でナニに依存する状況が多かった点を払拭する上で、アシュリー・ヤングも狙いたいのだが・・・。

最前線は、守備陣と同様に安泰だ。得点王を走っているディミータル・ベルバトフがスコアラーとして“リバイバル”し、チチャリートとこと、ハビエル・エルナンデスも加入初年度にも関わらず、その力を如何なく発揮。シーズン序盤はウェイン・ルーニーの不調が取り沙汰されたが、然したる害が生まれなかったのは、彼ら二人の活躍に依るものが大きかった。“元ワンダーキッド”のマイケル・オーウェンが形骸化されても仕方ないだろう。また、来季にはレンタルバック組として、フェデリーコ・マケーダ、マメ・ディウフ、ダニー・ウェルベックという錚々たる面子が帰ってくる。「他のポジションをスケールアップを図るために、高値のベルバトフを売却する」という話もあるようだが、仮にこの手段が講じられたとしても“選手層”についての不安を感じるものは少ないはずだ。無論、百戦錬磨のファギーが、チームの得点源を軽率に手放すとは思えないが。

入団候補リスト

ポジション 名前 生年月日 国籍/代表歴 現所属 予想市場価格 入団の可能性 備考
CF フェデリコ・マケーダ 1991年8月22日 イタリアU-21代表 サンプドリア 400万竄ャ 50% レンタルバック
CF/ST/WG マメ・ディウフ 1987年12月16日 セネガル代表 ブラックバーン 400万竄ャ 50% レンタルバック
ST/CF/SH ダニー・ウェルベック 1990年11月26日 イングランド代表 サンダーランド 600万竄ャ 60% レンタルバック
OH/CH ヴェスリー・スナイデル 1984年6月9日 オランダ代表 インテル 3000万竄ャ 30%
OH/SH/WG アンドレ・アユー 1989年12月17日 ガーナ代表 マルセイユ 550万竄ャ 20%
SH/OH/ST アシュリー・ヤング 1985年7月9日 イングランド代表 アストン・ヴィラ 1800万竄ャ 40%
SH/SB ギャレス・ベイル 1989年7月16日 ウェールズ代表 トッテナム 2500万竄ャ 10%
CH/SH ジョーダン・ヘンダーソン 1990年6月17日 イングランド代表 サンダーランド 850万竄ャ 20%
CH/SB/CB マウリシオ・イスラ 1988年6月12日 チリ代表 ウディネーゼ 800万竄ャ 20%
CH/OH/SH ミケル・アルテタ 1982年3月26日 スペイン代表 エヴァートン 1700万竄ャ 20%
CH/DH/SH チャーリー・アダム 1985年12月10日 スコットランド代表 ブラックプール 450万竄ャ 30%
DH/CH/CB ジャック・ロドウェル 1991年3月11日 イングランドU-21代表 エヴァートン 1400万竄ャ 40%
CB ロランド 1985年8月31日 ポルトガル代表 ポルト 700万竄ャ 20%
CB/DH フィル・ジョーンズ 1992年2月21日 イングランドU-21代表 ブラックバーン 350万竄ャ 10%
GK ダビド・デ・ヘア 1990年11月7日 スペイン代表 A・マドリー 1800万竄ャ 40%
GK ホセ・マヌエル・レイナ 1982年8月31日 スペイン代表 リヴァプール 2200万竄ャ 10%
GK マールテン・ステケレンブルフ 1982年9月22日 オランダ代表 アヤックス 1100万竄ャ 20%
GK ルイ・パトリシオ 1988年2月15日 ポルトガル代表 スポルティング 700万竄ャ 30%

退団候補リスト

ポジション 名前 生年月日 国籍/代表歴 噂される移籍先 予想市場価格 退団の可能性 備考
CF/WG ニッキー・アジョーズ 1991年10月7日 元イングランドU-17代表 イングランド方面 不明 70% バーンリーへローンアウト中
CF/WG マイケル・オーウェン 1979年12月14日 元イングランド代表 イングランド方面 700万竄ャ 50%
OH/CH アンデルソン 1988年4月13日 ブラジル代表 A・マドリーなど 2100万竄ャ 30%
CH/OH/DH ポール・スコールズ 1985年3月10日 元イングランド代表 現役引退 700万竄ャ 50%
CH/SH/SB トム・クレヴァリー 1989年8月12日 イングランドU-21代表 イングランド方面 250万竄ャ 60% ウィガンへローンアウト中
SB/CB リッチー・デ・ラート 1988年11月28日 ベルギー代表 イングランド方面 120万竄ャ 60% ポーツマスへローンアウト中
SB パトリス・エヴラ 1981年5月15日 フランス代表 R・マドリー 2700万竄ャ 20%
CB/SB ウェズ・ブラウン 1979年10月13日 元イングランド代表 イングランド方面 700万竄ャ 40%
CB/SB ジョニー・エヴァンズ 1988年1月3日 北アイルランド代表 プレミアリーグ方面 900万竄ャ 40%
GK エドウィン・ファン・デル・サール 1970年10月29日 元オランダ代表 現役引退 90%

(筆:Qoly編集部 T)

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