Denmark
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3
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2-1
1-0 |
1
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Qatar
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ダルスガール B・ニールセン リン |
4' 20' 72' |
得点者
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8' |
アル・ハイドス |
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ロシアを圧倒的な差で下したデンマークの優勢は避けられないと思えた対戦カードであったが、カタールの健闘が光った。
前の試合から、高い位置からのプレッシングを非常に高い最終ラインが支えるというアグレッシブな戦い方を継続。さらにデンマークのシステムに合わせて4-1-4-1を採用し、ポジションごとの人数を合わせて、マークをしやすくアレンジ。さらにセンターバックにスピードがあるムフタフを入れ、弱点のカバーも狙っていた。
チリ戦では完全に失敗したハイプレス戦術は、デンマーク相手には非常に効果を発揮した。その原因は、デンマークがチリよりもボールを繋ぐ能力で劣ること、そして中1日ということもあってか守備が消極的であったからだ。そのため、デンマークの強みである裏への長いボールを出させないようにし、攻撃力を封じることに成功。4分に一度プレスを抜かれてカウンターを受けダルスガールに得点を許すも、すかさずバックパスのミスを利用してアル・ハイドスが同点ゴールを奪うと、前半の残り時間はほぼ一方的に攻めるような展開に持ち込んだ。
また、カタールの良さは守備だけではなく攻撃にもある。パスを出してからの動き出し、裏のスペースへの飛び出しが豊富で、意外にも連携がスムーズなのだ。これはカタールのA代表やクラブチームではむしろ弱点の部分である。名将コ・アドリアーンセ監督の指導の賜物なのだろう。
だが、カタールにとっても中1日は同じ。さすがにこの消耗が大きい戦術は後半になると徐々に綻びを見せ始めた。一方デンマークも、前半の消極的な守備を改善しており、寄せが厳しくなっていた。カタールはこのために徐々に試合の支配力を失っていく。そして47分にはリンの突破を許し、ビレ・ニールセンにフリーでシュートを許して失点。2日前の試合でも見せた弱点、最終ラインの守備力が命取りとなった。さらに72分にも、前係になった隙を狙われてカウンターを受け、リンに追加点を決められてついに力尽きた。
健闘むなしく敗れたカタールはグループリーグ敗退が決まったが、このチームはオリンピック出場に向けた長期計画のもとで動いているエリート集団。このまま順調に強化できれば、2年後ロンドンの地に立っている可能性は高いだろう。