[J1第34節、FC町田ゼルビア 0-0 アビスパ福岡、10月18日、東京・町田GIONスタジアム]
町田はホームに福岡を迎え、0-0のスコアレスドローに終わった。
リーグ戦残り5試合で奇跡の逆転優勝を狙っていた町田にとって痛すぎる引き分けとなった。
復調へ「質の上げ方」が重要
今季はボランチでの出場が多かった日本代表DF中山雄太だが、この日はセンターバックで先発出場。果敢な持ち運びや、前線へ楔のパスを通すなど、これまで見せてきた中盤の働きを織り交ぜてビルドアップを活性化させた。
中山は「最近、後ろ(のポジション)をやっていて力が有り余っているので、少し自分が欲を出して中に入っていくシーンを増やした。あと、福岡の攻撃の時間帯があまりないと感じたので、自分が多少欲張っても大丈夫かなと思いました。何本か縦パスが入ったり、アタッキングサードへボールを入れられた」と、自身のプレーを振り返った。
一方で「逆にそれ以降のクオリティ。みんなが慌てたり、周りが見えていないシーンがすごく多いので、それは練習からやっていくしかないと思います」と、チーム全体の反省点を指摘した。
前節のサンフレッチェ広島戦を落とした町田は、悲願のJ1初優勝へ望みをつなげるために是が非でも勝点3が欲しい試合だった。だが、最後まで先制点が遠かった。
町田の背番号19は、今後拮抗した試合をものにするためには“どのようにして全体のクオリティを高めていくか”という過程が重要だと強調した。
「『質を上げる』と言うのは簡単ですけど、質の上げ方だと思うんですよね。一つ、一つのプレーにどれだけ思いを持っているのか。出ていない選手が久しぶりに試合に出てどれぐらいパワーを出せるか。試合中の一つのミスと見られるかもしれませんが、自分の人生がかかっているところでどれだけ尽力できるかというところだと思う。
シュート一つを取ってもそうだし、シュートにつながるトラップ、その前のドリブル、パス、一つ、一つにどれだけかけられるか。そこが僕としては『ごめん、ごめん』で終わるのか、『この一個で(試合が)決まっていれば…』と思えるかどうかは大事かなと。そこがあるから、次につながったり、次へつなげる活力になる。状況にもよりますが、いまの(チームの)フェーズは絶対にそれは良くない。それが怠慢につながりかけると思う」
昨年開催されたAFC アジアカップ以降、日本代表で試合に出場していない中山は、14日に東京スタジアムで日本代表がブラジル代表を3-2で破った試合を観ていたという。
「(日本が)ブラジルにやれていたおかげで、自分も『ブラジルとやれるんだな』とイメージが湧きました」と話した。
この試合で、3バックの一角で先発してセレソンの攻撃陣を完封したデンマーク1部コペンハーゲンDF鈴木淳之介について「いい選手だと思いますよ!」と評価した。
それでも「まぁでも、俺は最後だけ良かったんじゃないかなと。淳之介くんだけじゃなくて、最終ラインは失点が重なっているので、そこはみんな良しとしていないと思う。僕は(代表に)行っている選手や行っていない選手の苦しさや難しさは分かっているので、外野がとやかく言うつもりはない。自分がもしあそこにいたら、もっと良くできたんじゃないかなと思いながら、それに相応しいパフォーマンスを出していきたいです」と、若手の台頭に奮起した。
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町田は21日(日本時間午後9時15分から)に、アウェイで中国1部上海海港とAFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)第3戦を行う。
中山は「一朝一夕に変わるわけじゃないですけど、(次の試合で)勝利とともに手応えを持って帰って、浦和(レッズ)戦にもつなげられるような一戦にしたいです」と、アジアの戦いに向けて意気込んだ。
(取材・文 縄手猟)