韓国2部の釜山アイパークが18日、衝撃的な発表をして波紋を広げている。
同クラブは「FWソン・ソギョン(26歳)が突然、社会服務要員としての生活を始めることになり、しばらくチームを離れることになった」と発表した。
「社会服務要員」とは、韓国の徴兵制度における代替服務の一種で、徴兵検査で「補充役」と判定された者が現役兵の代わりに公共機関や福祉施設などで働く制度を指す。
つまり、ソンは突然入隊令を受け、公共サービス機関で働くことになったのだ。
韓国メディア『スポーツニアス』は、17日に天安総合運動場で行われた天安シティと釜山の試合を観戦に訪れていたソンへの取材を実施。
取材を受けた同選手は混乱していた様子だったという。
ソンは「突然、兵務庁から入隊令状が届きました。シーズン中なので延期のために最善を尽くしましたが、最終的に延期できないという通知を受けました」と事情を明かした。
韓国では、基本的にすべての成人男性に兵役義務があり、19歳になる年に兵役判定調査を受け、その結果に応じて兵役の種類が決まる。
兵役は28歳の誕生日を迎えるまでに履行しなければならず、最長で29歳まで延期できる。
兵役の延期申請は、特定の条件や手続きに基づいて行われるが、必ずしもすべての申請が受理されるわけではないという。
ソンも同メディアの取材で「延期申請はずっとしてきた。(入隊の)期限を逃したわけではありません」と話している。
また、韓国リーグには金泉尚武という軍隊クラブが存在するが、特定の期間内に書類審査などを受けて合格する必要があり、ソンは突然の入隊令だったため、金泉へ入団することはできない。
ソンは「何度も申請が受け入れられなかったので、ほかの方法も模索しました。しかし、最終的に駄目だと言われました。本当に当惑しました。クラブにどう話すか悩みましたし、ファンやチームメイト、クラブの職員の方々に申し訳ない気持ちでいっぱいでした」と取材陣に語った。
それでも釜山のストライカーはクラブに感謝しているという。
「突然、入隊しなければならない状況になったと話しました。それでもクラブは仕方のないことだと理解してくださり、良い形で話をしてくれました。『行ってきて、また良い姿でプレーできるように準備をしていてほしい』と励ましていただきました」
1998年9月生まれのソンは、同国1部の大邱FCの下部組織出身で、2016年にトップチームに昇格した。
その後は国内のクラブでプレーし、昨季に釜山へ入団したばかりだった。今季はリーグ戦18試合に出場して2得点を記録。今後さらなる活躍を期待されていた。
そのような状況で突然社会服務要員となったソンは、現在忠清南道・唐津の公共施設に勤務している。来年からは韓国4部の唐津市民サッカークラブでアマチュア選手としてプレーするつもりのようだ。
同選手は「突然身分が変わって、最初はなかなか受け入れられず大変でした。しかし、受け入れて勤務しているうちに、今では平気になった気がします」とコメントした。
社会服務要員としての兵役期間は約21カ月から24カ月とされており、しばらくソンは表舞台から姿を消すことになってしまう。
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2年後、再びプロリーグの舞台で得点を量産するソンの姿を期待したい。
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