[天皇杯1回戦、筑波大学 1-0 RB大宮アルディージャ、25日、埼玉・NACK5スタジアム大宮]

茨城県代表の筑波大は、1回戦でJ2大宮アルディージャを1-0で破り、昨年に続いてJクラブ相手にジャイアントキリングを達成した。

この日同大のゴールマウスを守ったGK佐藤瑠星(4年、J1浦和レッズ内定、大津高)は、安定感のあるセービングでピンチを防ぎ、完封勝利で2回戦進出に貢献した。

ジャイアントキリングの影の立役者となった佐藤(写真中央)

番狂わせの裏に、緻密なスカウティングと戦術トレーニング

筑波大は前半からアグレッシブにボールを奪いに行き、大宮の攻撃を封じ込んだ。相手が前半途中で、4–4-2にシステムを変えて打開策を打って出たが、佐藤が後方から守備陣を統率し、試合終了まで堅守を崩さなかった。

前半40分にスコアが動いた。DF布施克真(ふせ・かつま、1年、日本大藤沢高)が右サイドから左足でクロスを挙げると、中央に飛び込んだMF廣井蘭人(ひろい・らんど、3年、帝京長岡高)が頭で合わせてゴール左隅に決勝弾を叩き込んだ。

後半はプロの意地を見せたい大宮が筑波大ゴールに襲いかかるも、プロ内定GKが安定感抜群のセービングを披露してピンチをしのいだ。

果敢な飛び出しでピンチを防いだ佐藤(写真中央下)

佐藤は「自分はけっこう(前に)出るタイプなので、そこは周りに伝えています。(飛び出したときの)カバーを味方がやってくれているからこそ、自信を持って出て行けます。そういうところはこれまで積み上げてきたものが生かせたかなと思います」と守備陣との連係に自信を見せた。

試合は筑波大がこのまま完封し、昨年に続いてJクラブを倒す番狂わせを起こした。試合終了の笛が鳴ると、うれしさを爆発させた佐藤は両手でガッツポーズをして、天に向かって吠えた。

試合終了直後、ガッツポーズをして天に向かって吠えた佐藤

勝利の秘訣は筑波大が誇る緻密なスカウティングと、それをもとに行うトレーニングにあった。

同大を指揮した小井土正亮(こいど・まさあき)監督は「分析は我々の強みとしてやっています。我々は全体的な大宮のプレーの特徴から、どんな選手なのかという個人プレー集も、うちのアナリストグループが全員でつくってくれました。天皇杯なので、どの選手が出てくるかは試合にならないと分かりませんが、『何が起きても大丈夫だ』という準備を全員でやっていました。

パッとメンバーを見たときも、予想とはぜんぜん違うメンバーでした。途中でフォーメーションを変えてきたときは、すぐにベンチのアナリストグループで更新して慌てずに対応できた。そういう意味では、いい準備をして(試合に)臨めたことは大きな収穫の一つかなと感じています」とアナリストグループの分析がこの勝利の鍵になったと明かした。

スカウティングチームを含めたチーム全員での勝利だと強調した筑波大の小井土監督

実際にピッチに立った佐藤も「毎試合、個人映像が送られてくるので、そういうのを見たりする人もいれば、スカウティングの映像を見たりする人もいて様々です。

(きょうの試合は)入りをはっきりやること。時間をかけて戦術トレーニングをやってきたので、そこでしっかり成果が出てたと思います」とスカウティングを元にした戦術練習が功を奏した。