Qolyアンバサダーのコラムニスト、中坊コラムの中坊氏によるコラムをお届けします。
レンヌへの移籍は良い移籍である3つの理由
セルティックからレンヌへ完全移籍することが発表された古橋亨梧。
この移籍に対し、ステップアップではなく残念だという感想を述べる方もいるようだが、個人的には良い移籍だと考えている。
理由はセルティックでの実績、リーグの格、レンヌ側の本気度(移籍金)の3点である。
1:セルティックでの実績
セルティックで国内3冠を達成、ベストイレブン選出、得点王受賞、リーグ年間最優秀選手賞受賞、UEFACL出場+得点、と素晴らしい結果をたたき出し、スコットランド国内で最高評価を得た古橋。
これ以上、さらにセルティックで何か実績積み上げるよりも、新天地で挑戦し結果を出す方が、より欧州での評価がより高まる。
もちろん、常に優勝できるクラブから現在下位に低迷するクラブへと一気に環境が変わる難しさはあるが、それもまたキャリアにおける糧となるのではないか。
リーグ戦で常に格下のクラブと対戦してきたセルティック時代と異なり、PSGというメガクラブ、マルセイユというビッグクラブを含め格上クラブとの対戦が待っている。
2:リーグの格
スコティッシュ・プレミアシップはリーグとしての格が今まで問われてきて、古橋が見事な結果を残しても「所詮スコットランド」と揶揄する意見も多く目にした。
しかし今回、欧州5大リーグのリーグ・アンに移籍できるチャンスが舞い込んできたわけで、ここはリーグの格だけで見れば当然ステップアップ。イングランドのサッカー協会(FA)が発表しているリーグランクにおいてもスコティッシュ・プレミアシップとリーグ・アンを比較すると2段階上のクラスである。
セルティックとレンヌ、どちらが大きなクラブなのかという観点だけで見ればステップアップとは言い難いと思うが、こと所属リーグの観点で見ればステップアップである。
なお、森保日本代表監督の発言により「リーグレベルが低いから日本代表に招集されない、W杯にも出場できなかったのでは?」と見る向きもあるが、これは明らかな誤解。
そもそも古橋は何度も招集されチャンスを与えられており、同じくセルティック所属の前田大然はカタールW杯にてスタメン出場している。日本代表招集とリーグレベルの件は古橋に関しては関係ない。
3:レンヌ側の本気度
レンヌ側は現時点でリーグ14位と下位に低迷しているが、過去数年の順位からしても常に下位にいるクラブではなく、今季はたまたま残留争いをしている状況。そこは誤解してはならない。
また、残留争い中なので今冬のマーケットで本気の補強をしている。GKブライス・サンバに1400万ユーロ(約22億円)、MFセコ・フォファナに2000万ユーロ(約32億円)、そして古橋に1200万ユーロ(約19億円)。監督のホルヘ・サンパオリからも望まれており、60億円超えの大補強の一員として加わるならクラブからの期待も高い。
セルティックでやりつくした中で5大リーグに挑戦、しかもクラブから高額を積まれ望まれている。
30歳のフットボーラーとしてこれほど高い評価を受けて新たなステップに臨めることは素晴らしいことだと思う。W杯に縁がなくてもクラブキャリアで確かな実績と刺激的な挑戦を掴めるのはそれはそれで良いことだと考える。
また、これはイングランド・プレミアリーグだけに注目が集まりやすい現状だから致し方ないのかもしれないが、リーグ・アンを過小評価するのも不思議な話である。
普段観戦していないからよくわからない、というのは当然理解できるのだが、だからといって格下リーグに移籍したかのような感覚を持つ人がいるのは残念である。