最終成績

12位:12勝14敗12分、得点33/失点38(-5)

スターティングイレブン

チーム内 MVP

紺野和也

シーズンベストバウト

16節 アルビレックス新潟 vs アビスパ福岡

シーズンベストゴール

11節 ガンバ大阪戦 シャハブ・ザヘディ

総評

長谷部茂利監督と過ごした最後のシーズン。集大成とも言えるシーズンでしたが、結果は12位。

しかし長谷部監督は堅守のアビスパ福岡に新たな武器を加えようと、ボールを持って攻撃を仕掛ける事に挑戦しました。

442や253など守備の陣形を微調整しながら、迎撃を作り出してショートカウンターを押し出しながら勝点を堅実に稼いでいきました。1stプレスラインの制限と誘導の方法、セントラルハーフ(以下CH)の挟撃、センターバック(以下CB)の迎撃。やはりお手本となるチームでした。

その中でも輝きを放ったのが田代雅也です。キャプテン奈良竜樹の長期離脱の穴をしっかりと埋め切り、DFリーダーとしてシーズンを闘い抜きました。

そもそも兼ね備えている対人の強さと空中戦に加えて、潰しにいくタイミングも向上しました。さらにサガン鳥栖時代と比べて、ボールを奪ったあとの配球能力も上手くなったと思います。紺野和也と並び、チーム内MVPに選びたい選手でした。

他にも長谷部監督は小田逸稀や岩崎悠人、松岡大起、重見柾斗、多くの選手たちの成長にも携わりました。スペースを守る方法やプレスの丁寧なかけ方、守備のリンクに戻り方。カウンタールートの明確化。選手たちに残したものは計り知れないものがあります。

またチームに目を向けると、ナッシム・ベン・カリファ、シャハブ・ザヘディ、岩崎悠人と攻撃方面の選手を補強。エースの山岸祐也の移籍も関係していますが、もしかすると長谷部監督は「今季は保持も積み上げる」と2024シーズンが始まる前に決めていたのかもしれません。

その兆しが見えたのがJ1第23節のサンフレッチェ広島戦です。ウェリントンの不在ということもあり、佐藤凌我がセンターフォワード(以下CF)に入ったこの一戦は、確実にサンフレッチェ広島を苦しめました。

簡単にロングパスを送り込むのではなく、佐藤凌我と紺野和也と重見柾斗の入れ替わりを使う出口で、サンフレッチェ広島のマンツーマンを剥がしていきました。また迎撃も綺麗に作り出していました。

本来の良さに新たなものを手にしようとする取り組みが見えた一戦でした。敗戦してしまいましたが、こちらもシーズンベストバウトに選びたい一戦です。

サンフレッチェ広島戦での敗戦と挑戦から勝てない、勝ち切れない時間が長く続いてしまいましたが、それでも停滞感や虚無感を感じなかったのは、チームの骨格があり、そして積み上げようとしているものがはっきり、そして具体的に見えていたからだと思います。

この積み上げで一気に力を伸ばしたのが重見柾斗です。特にチャンネルを取っていく彼のランニングはアビスパの崩しにおいて、とても重要なファクターになっていました。

残り2節で復帰を果たしたナッシム・ベン・カリファも途中出場からでしたが、インパクトのあるパフォーマンスを披露。仮に佐藤凌我とベン・カリファがシーズン頭からフルパフォーマンスを発揮していれば、、、と思わざるを得ないです。

アビスパ福岡に信念を植え付け、闘い抜く方法を提示し続けた長谷部茂利監督。アビスパ福岡の歴史に名を刻む名監督です。クラブにとっても、選手にとっても、サポーターにとっても、そして福岡という街にとっても、忘れることのできない監督になったと思います。

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長谷部・アビスパは解体されてしまいますが、最後まで進化を続けようともがき、前進した良いシーズンだったと個人的には思います。

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