2022年にカタールで開催されたFIFAワールドカップ。初めて中東で開催された大会では、移民同労者に対する人権侵害が問題視された。

『BBC』によれば、FIFAはカタールでのW杯関連事業に従事した労働者への補償を求める要求を拒否したという。

これはFIFAの運営組織の人権と社会的責任に関する独自委員会が提出したもの。FIFAは2023年3月に委託した独自委員会からの報告書を昨年12月の段階で受け取っていたものの、ほぼ1年後にようやく発表したという。

同委員会は「W杯の大成功に貢献した労働者の中には、いまだに十分な補償を受けていない者もいる。2022年W杯のレガシー基金の全額または一部を、移民労働者のために大会のレガシーをさらに強化するために充てること」と勧告。

FIFAは今週初めに3940万ポンド(約75億円)のレガシー基金を発表したが、そこには労働者への補償は含まれておらず、人権活動家から批判を浴びている。

2010年にカタールがW杯招致に成功して以来、インド、パキスタン、ネパール、バングラデシュ、スリランカからの出稼ぎ労働者6500人がカタールで死亡。

一方、カタール政府は、死者全員がW杯関連プロジェクトに従事している人間ではなく、多くは老衰やその他の自然的な原因で死亡した可能性があるとしている。また、主催者側もW杯関連プロジェクトで死亡した移民労働者の数は「400人から500人」だとしている。

FIFAはW杯で60億ポンド(1.1兆円)の記録的な利益を記録したにもかかわらず、活動家や選手組合、ファン団体、一部の欧州サッカー協会が求めていた3.5億ポンド(667億円)の労働者遺族への補償基金を拒否。その代わりにレガシー基金を捻出していたそう。

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人権団体アムネスティは「FIFAがこの独立報告書を長い間隠し通そうとしていたことには何の不思議もない。この報告書は、2022年W杯関連して虐待を受けた何十万人もの労働者に対し、補償を含む救済保証の責任があると明確に結論付けている」などと指摘。

一方、FIFA側は「すべての勧告を満たすことはできなかったが、実用的でインパクトのある要素は維持された。この調査は救済義務の法的評価を具体的に構成するものではないことに留意すべきである」などとしている。

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