横浜F・マリノスは22日、AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)のリーグフェーズ第3節で山東泰山と対戦し、2-2の引き分け。これにより、両チームの戦績は共に1勝1分1敗となった。

昨シーズンのACLではグループステージと準々決勝で計4回戦い、F・マリノスが全勝した両チームの対戦。先に試合を動かしたのはホームの山東泰山。前半43分にこぼれ球を拾ったゼカの落としをクリサンが沈め先制に成功する。

しかしエンド変わった後半9分、F・マリノスが左コーナーキックからエドゥアルドがフリックで折り返すと、詰めていたアンデルソン・ロペスが押し込み同点に。膠着状態が続き、試合も大詰めとなった後半42分、宮市亮のパスに反応した加藤蓮がワンタッチで中にボールを供給。反応していたヤン・マテウスが左足で冷静に仕留め、逆転に成功した。

ところが執念深い山東泰山は、後半47分、自身のヘディングのこぼれ球に反応したジェン・ジェンが頭で捩じ込み山東サポーターで埋まったスタジアムは沸騰。試合はこのまま終了し、勝点1を分け合った。

F・マリノスにとってこの試合脅威となったのは前線の3枚、クリサン、ゼカ、ヴァレリ・カザイシュヴィリだ。山東はボールを持つと間髪入れずに推進力のあるこの3人にボールを集め、カウンターを仕掛けていた。

彼らは決まったポジションを取ることはなく、状況に応じてさまざまなところに顔を出し、3人でボールが回るようお互いの距離が離れすぎないようなポジショニングを取った。

F・マリノスとしては相当守りにくかったはずであり、前半43分の失点シーンもカザイシュヴィリとクリサンとゼカの3枚で崩されてからの失点。前半終盤に警戒すべきポイントで失点してしまった分、ダメージは大きかったはずだ。山東の攻め方に特徴はあったとはいえ、少し悔いの残るポイントだった。

それ以上に悔やまれるのが後半アディショナルタイムでの失点である。この時間の少し手前からボールホルダーへの詰めの甘さが否めなかった。直近の試合で見られた課題がこの試合でも出始め、危険なシーンを多く作られていた時間の中だった。

この失点のきっかけとなったプレーは、左ウイングバックの位置にいたリウ・ヤンの斜めへの楔のパスだった。この時ボールホルダーに一番近かった水沼宏太は中に絞っていたため対処が遅れており、リウは完全にフリーの状況であった。

リウが受けた時、ペン・シンリが上島拓巳とエドゥアルドの間を割いて左ポケットに向かって走り込んでいた。上島は背後から来ていたペンに一切気づかず。エドゥアルドは気付いてはいたものの、相手の枚数的に出られる状態ではなく、誰も付き切れないままそのままフリーで走られてポケットを取られてしまい、同点とされた。

パスが出る前、右サイドバックの松原健が若干外開きな状態でポジションを取っていたため、もう少し中に絞れていたらパスを防げた可能性はあった。

この失点のもう一つのポイントがセカンドボールへの反応だ。ゲームを通して感じたことでもあり、ロングボールを跳ね返す場面は多くあった中で、セカンドボールを拾われカウンターを仕掛けられることが多々あった。

痛恨の同点弾もジェン・ジェンが一度放ったヘディングのセカンドボールへの対応が遅れたことで生まれた。飯倉大樹が弾き、クロスバーに当たった瞬間もジェンの足は動いていたのにも関わらず、F・マリノスの選手たちは足が止まってしまった点が明暗を分けた。ここの対応も含めて、続く連戦で出た課題を修正していきたい。

とはいえ、ここのところの守備の不安が解消に近づく良いプレーが目立っていた試合ではあった。

左センターバックで先発したエドゥアルドはクリアミスでピンチを招く場面もあったが、中盤に下がって受けるクリサンに高めから激しいプレスをかけてボールを奪い取るシーンもあり、全体を通して安定感があった。

相方の上島は身長を生かした空中戦の強さに加え、守備のカバーリングでも質の高さを見せ、F・マリノスの守備を支えた。ここから続く過密日程で、改善に向けた光が指したのはチームにとってプラスである。この調子を維持して、次戦以降も戦えれば段々と良い方向に傾くはずだ。

攻撃陣は得意のサイド攻撃が目立っており、チャンスも作れていた。コーナーキックも終始エドゥアルドがフリーになっており、その隙をついた同点弾も見事。ヤン・マテウスの逆転ゴールも鮮やかな崩しであった。

しかし、アンデルソン・ロペスが開けたスペースを有効活用し切れず、チャンスを潰す場面が目立ったのは課題だろう。この試合、ロペスには完全なマンツーマンでマークがついており、引いてボールを受ける時も激しいマークを受けていた。

ただその分、ロペスが引き出したセンターバックのスペースをいかにうまく使えるかが重要であり、前半はこの場所に植中朝日が走り込んでチャンスを演出していたが、後半になってそこを突くプレーは減っていってしまった。ここを突ければというシーンが何個かあっただけに、有効活用できなかったのは痛かった。

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次節、F・マリノスはホームでブリーラム・ユナイテッドと、山東泰山はアウェイで浦項スティーラーズと対戦する。

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