Jリーグへの入会を決めたFC今治について、Qolyでは「サカつく」の宮崎伸周プロデューサーと共に「リアルサカつく」の実態に迫っている。
矢野将文社長に続いてお話を伺っているのは、20代にしてクラブの経営企画室長を務める中島啓太氏。
大手企業を退職して今治へとやってきた中島氏は、この地でいったい何をやろうとしているのか。その胸に秘めた熱き想いを語っていただいたぞ。
心震える感動、心踊るワクワク感、心温まる絆を感じられるスタジアム
――夢スタにはスタジアムビジョンというものがあると聞きました。
中島:はい。私たちは毎週、スタジアムを満員にするためのミーティングをやっています。でも、スタジアムに夢やビジョンがないとただの「イベント運営」になってしまいますよね。
何のためにここにお客さんを集めたいと思っているのかというのがまずないといけない。そこでビジョンを作ろうという話になり、「そこにいる全ての人が、心震える感動、心踊るワクワク感、心温まる絆を感じられるスタジアム」というスタジアムビジョンを掲げました。
その実現のために、サッカーの試合だけではなくて、子供が水鉄砲で遊べる場所やチョークでお絵描きできるところを作ったり、グルメもできるだけ地元のものを、やりたいよって人にやってもらったり。USJに勉強に行ったりもしました。そして、小さなワクワクを沢山ちりばめる工夫をしました。
もちろんサッカーが根底にあります。しかし、別にサッカーを見なくても何かここにくれば楽しいし、心躍るワクワクとか心の繋がりができて、みんなのアイデンティティが再発見できるみたいな場所を作りたかった。
それが私たちの企業理念で目指している心の豊かさに繋がっていくだろうという考えでした。今思い返すと、スタジアムビジョンを最初にドンとたてるというのは、一番、時間を使ったところかもしれないですね。
ひょっとしてスタジアムビジョンというものがあるクラブって決して多くないんじゃないかなと。
宮崎:いやあ、あまり聞いたことないですね。
中島:私たちも(取材当日)レディースデーのような企画をやりますが、単発のテーマはあってもそれは集客のために過ぎないですよね。私たちが集客した人に何を感じてもらいたいかっていうところの“空気のビジョン”というか、スタジアムの場としてのビジョンはあまり設定されているところはないのではないかと。