2月9日、イングランド・プレミアリーグのウェストハム・ユナイテッドは「最高齢のシーズンチケットホルダーであるメイベル・アーノルドが死去した」と発表した。

メイベル・アーノルドは享年102歳。シーズンチケットを初めて購入してから、欠かさず84年間も更新してきたという女性だ。

メイベルが生まれたのは1916年4月2日。初めてウェストハムの試合を見に行ったのは、18歳になった1934年だった。

その隣には夫のディックがいた。彼は後にウェストハムでトレーナー、そしてスカウトとして1958年から23年間働くことになる人物であった。

ディックは1981年に惜しまれながらも死去したが、メイベルは息子のグレアムとともにウェストハムの試合を観戦し続けたのだ。

100歳を超えて体力の衰えが目立つようになっても、彼女はシーズンチケットを更新し続け、ロンドンのスタジアムに通ってきた。

その情熱は驚くようなもので、100歳の誕生日のお祝いは何がいい?と聞かれたときには、

「エリザベス2世のお祝いよりも、勝点3が欲しいわよ!」

と答えたという。シーズンチケットの更新期間が84年になった今季、10月のトッテナム戦を最後にスタジアムを訪れることができなくなり、そして2月9日の午前3時に息を引き取った。103歳の誕生日まであと2ヶ月というタイミングだった。

ウェストハム・ユナイテッドはメイベルの死を悼み、各選手がコメントを発表。クラブも2月22日のフラム戦で彼女へのセレモニーを行い、マッチデープログラムもメイベルの特集号になるという。

経済的に成長を続け、グローバル化が進むプレミアリーグ。しかしその一方で土着のサポーターをこれほどまでに大事にする。サッカーの母国であるイングランドの文化の深さを感じさせる出来事だ。

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