今年のJ1は史上稀に見る大混戦の様相を呈している。
勝ち点では川崎フロンターレとサンフレッチェ広島の2チームが少し抜けているものの、ACL出場権争いから残留争いまでその他の16チームがひしめき合っており、毎週天国と地獄の行き来が行われている。
その熱は夏の移籍マーケットにも影響をもたらした。混戦を抜け出すべく各クラブが積極的な補強を敢行した結果、中断期間中もピッチ外の話題で大いに盛り上がった。
アンドレス・イニエスタやフェルナンド・トーレスの参戦ばかりが目立っているが、その他にも多くの有力選手が動いたことも、平成最後のシーズンの特徴とも言えるだろう。
そこで今回は、夏の移籍が奏功している選手を取り上げてみよう。
前田直輝(松本山雅→名古屋)
今年の冬に横浜F・マリノスから松本山雅へ加入したばかりだったが、J1の名古屋グランパスからオファーを受け、半年でチームを離れる決断をした。
当時、松本はJ2で首位を走っており、本人も今年のシーズン前から「松本の来シーズンのJ1残留」を目標に掲げていたため、この移籍は相当な覚悟があったはず。そして、その覚悟はすぐに結果として表れる。
名古屋加入後リーグ戦では全試合にスタメン出場しており、13試合で7得点4アシストと大爆発。チーム7連勝の原動力となり、最下位脱出に大きく貢献している。
また、前田の加入はジョーの真価をも引き出し、ゴール量産体制に入った元ブラジル代表ストライカーは現在得点王争いの単独トップに立つ。実際、ジョーが記録している21ゴールのうち、15ゴールは前田の加入後に生まれたものだ。
日本代表に推す声も多く、リーグで“今一番キレている”ドリブラーといっていいだろう。