ブラジル代表がNikeのユニフォームを着用して、2017年でちょうど20年になる。
20年前。1997年にフランスで開催されたワールドカップのプレ大会“トゥルノワ・ド・フランス”の開幕戦で、フランス代表を相手にロベルト・カルロスはあり得ない軌道の強烈なフリーキックを決め、世界のサッカーファンに衝撃を与えた。
そのトゥルノワ・ド・フランスからさかのぼること約2年。欧州選手権(EURO 1996)の開催を翌年に控えたイングランドでも、1995年に同様のプレ大会が開催された。ホスト国のイングランド代表がブラジル代表、スウェーデン代表、日本代表を招待して開催した「Umbroカップ」だ。
当時イングランド代表のユニフォームサプライヤーでもあり、そして欧州選手権の大会スポンサーだったUmbroの名を冠したこの大会は、1995年6月3日から11日にかけて行われ、ブラジル代表の優勝で閉幕した。
ブラジル代表はUmbroとサプライヤー契約期間中で、この大会ではエンブレム上に4つの星が付いたユニフォームを着用している。
これは1994年に4度目のワールドカップ優勝を果たしたことから、星がひとつ増えて4つ星となったためで、同時に前身頃のエンブレムのグラフィックも4つに増えている。
試合は4か国総当たりのリーグ戦形式で行われ、初戦でスウェーデン代表に勝利したブラジル代表は、第2戦で日本代表と対戦。1989年以来2度目の対戦となったこの試合は、当時横浜フリューゲルスに在籍していたジーニョの得点などで、3-0の完勝に終わっている。
じつは、この4つ星ユニフォームを着用したブラジル代表は、Umbroカップを含めて日本代表と3度対戦している。
次の対戦は、Umbroカップから約2か月後の8月に旧国立競技場で行われた、日本ブラジル修好100周年記念の国際親善試合「サン・スパークカップ」。日本代表はラモス瑠偉の招集が注目を集めたが、ほぼベストメンバーを揃えたブラジル代表が5-1で圧勝した。
“4つ星ブラジル”3度目の日本代表戦は、その親善試合から約1年後の1996年アトランタ五輪。日本代表が1-0で勝利した、あの「マイアミの奇跡」だ。
A代表における4つ星ユニフォームの使用期間は、確認できた限りでは1994年12月のユーゴスラヴィア代表戦から、1996年12月のボスニア・ヘルツェゴビナ代表戦まで。しかし1994ワールドカップで着用した3つ星時代も含めると、約3年近く使われていた息の長いユニフォームということになる。
1997年2月。ブラジルで行われたポーランド代表との親善試合で、Nikeのユニフォームを実戦披露したブラジル代表は4-2で勝利。Nikeユニの“初陣”を勝利で飾った。
以降Nikeとブラジル代表の蜜月関係は続いており、奇跡でも起きない限りは、もうUmbroのユニフォーム姿を見ることができそうにない。
Brazil 1995-96 Umbro Home
ロマーリオ、ライー、ドゥンガ、ジーニョ、レオナルド、リヴァウド、ベベット、ジュニーニョ・パウリスタ、ロベルト・カルロス、ジョルジーニョ、ロナウド、カフー、マウロ・シルバなど、多くのクラッキが袖を通したユニフォーム。