EURO2016もすでに50試合が終了。

残るは日本時間11日(月)に行われるポルトガル対フランスの決勝戦のみとなった。

今回のEUROをフランスで取材した編集部Sとしては、ちょっぴり寂しさを感じてしまう。

さて、そんなEURO2016ではスタジアムを盛り上げるべく様々な工夫がされていた。そうした小さな演出により、サポーターは最高に高ぶった状態で目の前の試合を楽しむことができたのだ。

そこで今回は、実際にスタジアムを訪れて気付いた4つの工夫を紹介しよう。

1. Fan decibel check

まずスタジアムで驚いたのは、今回のEUROでは出場国のスタジアムDJがそれぞれ1人ずつ会場に呼ばれていたということだ。

たとえばトゥールーズで行われたイタリア対スウェーデン戦には、イタリア出身のDJとスウェーデン出身のDJがそれぞれスタジアムにスタンバイしており、順番に会場を盛り上げていた。

アナウンスはもちろん現地語であるから、両チームのサポーターは言葉の問題を気にすることなくコール&レスポンスをすることができる。音楽などもそれぞれの国のファンが知っているものが流されるので、盛り上がりに欠けることもない。

24ヵ国の全てからスタジアムDJを呼び、各試合会場に派遣できるUEFAはさすがだなと感心したものだ。

で、そのスタジアムDJの主導で行われていたのがこの「Fan decibel check」だ。

要は、両チームのファンによる大声勝負だ。

各チームのスタジアムDJがそれぞれのファンに呼びかけ、一定期間大きな声を出してもらう。それを計測し、一体どちらのチームのサポーターの声が大きいかを競うというものだ。

サポーターとしては、相手チームのファンに声量で負けるわけにはいかない。そのため試合前でありながら、スタジアムはかなり熱狂的なムードに包まれるのだ。

ちなみに、イタリア対スウェーデン戦は104.4デシベル対101.1デシベルでイタリアの勝利。バトルに勝利したイタリアのファンは盛り上がり、敗れたスウェーデンのサポーターはやや不貞腐れた感じになっていた。この悔しさが、試合時の応援にまた拍車をかけることとなる。

ちなみに、デシベルチェック以外にもファンにその場で飛び回ってもらい振動数をバトルさせるという演出もある。

「ホームチーム」が存在するリーグ戦では採用できないかもしれないが、何かのヒントにはなりそうな取り組みである。

【次ページ】アメリカなどでも話題の「キスカム」