2004年以来11年ぶりに2ステージ制となった今シーズンのJ1は1stステージを浦和レッズ、2ndステージをサンフレッチェ広島が制し、この両チームと年間総合3位のガンバ大阪がチャンピオンシップへ進出することになった。
移行前には大変な物議を醸した2ステージ制だが、レギュラーシーズンを終えて果たしてどうだったであろうか?
簡単におさらいすると、2ステージ制の利点はまず、1stステージで仮に最下位になっても、成績がリセットされる2ndステージで優勝の可能性があり、それによりいわゆる消化試合が減るのではないかということ。またチャンピオンシップ制度の導入によりスポンサーからの資金援助を得られ、テレビ放送などで注目を集められることが挙げられるだろう。
一方で主な反対論として、率直に分かり難いこと。1つのステージは1回戦総当たりのため、ホーム&アウェイの日程次第で有利・不利が生じること。また年間順位で2位以下を引き離し首位に立っても、短期決戦のチャンピオンシップで3位チームに敗れる可能性があり、公平性に著しく欠けるのではないかということだ。
今年は1stステージ、2ndステージで劇的に成績が変化したクラブはなかったが、Jリーグは先日、成功か否かの大きな指標となる観客動員が今シーズン初めて900万人を突破したことを発表した。年々Jに加盟するクラブは増えており、また、2ステージ制とは関係のないJ2、J3も合わせた数字であるが、J1だけでも微増であった。
ただ大半が2ステージ制を採用する中南米のリーグを普段からチェックしている筆者からすると、レギュラーシーズン終了後にだけプレーオフを行うのなら、特別2ステージにする必要性があったのかは疑わしくも感じる。日程を度外視すれば例えばメキシコのようにステージごとにプレーオフを行ったほうが盛り上がったのは確実だろう。
どちらにせよわずか1年で結論付けるのは難しい。議論と熟慮の末に移行したか甚だ疑問であるが、一度決めたことをコロコロ変えてしまうのもいただけない。
公平性は確かに大事なことであるが、今のJリーグがそれだけで運営し継続できる水準にあるのかという点もある。議論する際に何かと欧州のトップリーグと比較されるが、そういった国の歴史は古く、しかも世界的に見ればほんの一握りの存在である。Jリーグはまだ誕生から20年ほどであり、終着地点を1ステージ制だと仮定しても、試行錯誤を重ねながら理想と現実の距離を縮めていくのも決して遠回りにはならないはずだ。
さて、そんななかでもう1つの大きな判断材料となるチャンピオンシップがいよいよ始まり、今日28日14時からは準決勝の浦和レッズ対ガンバ大阪の試合が行われる。
浦和といえばサポーターが2ステージ制反対で急先鋒に立った。穿った見方をすれば、年間総合順位で2位に終わった“愛するクラブ”がこのチャンピオンシップで勝ち進むことはすなわち、反対してきた2ステージ制の成功を意味することでもある。そのジレンマを抱える彼らが今日という日をどのように迎え、また応援するのか非常に興味深いところであろう。
それぞれがさまざまな想いを胸に抱え試合は行われる。ただ1つだけ言えるのはどんなシステムであってもサッカーはサッカーであるということだ。