5月16日、『AFP』は「イランリーグ最終節でトラクトル・サジが優勝を祝ったものの、実際は優勝していなかった」と報じた。
イランリーグで近年強豪に成長してきたクラブとして知られるトラクトル・サジ。しかしまだ優勝の経験はなく、首位で迎えた最終節は歴史上初めてのビッグチャンスであった。
ナフト・テヘランを相手にアンドラニク・テイムリアンが退場しながらも3-3というスコアに持ち込み、勝ち点1を獲得することに成功。
その瞬間、優勝を確信した選手やスタッフは喜び、そしてスタジアムに集まった9万人のファンもピッチになだれ込み勝利を祝った。
ところが、時を同じくして首位まで勝ち点差1の3位だったセパハンも同じように優勝を祝っていたのである。
後にナフト・テヘランのチーフエグゼクティブを務めるマンスール・ガンバルザデー氏が明かしたところによれば、どうやらトラクトルのスタジアムがその時点でテレビ、ラジオ、ネットの全てが止まってしまっており、外部からのリアルタイムの情報がない中で、セパハンが引き分けたという放送がされたという。
しかし、実際のところはセパハンが2-0と勝利を収めており、トラクトルが引き分けたために逆転優勝を飾っていたのである。
盛大なぬか喜びをしてしまったトラクトルのスタジアムでは当然のことながら大きな混乱が発生し、サポーターと警備隊の衝突も発生。壊された座席がピッチに投げ込まれ続け、審判も襲撃されるなど収拾が付かない状況となった。
トラクトル・サジの監督を務めているトニ・オリヴェイラ氏は『IRNA』の取材に対して「だまされた」と話しており、審判や運営側の不手際を批判しているという。