来年行われるCONCACAFゴールドカップの予選を兼ねた中米杯(コパ・セントロアメリカーナ)が3日より行われ、本日13日に最終日を迎える。中米一をかけ2年に一度行われる同大会は通常持ち回りで開催されるが、今回はヒスパニック系の住民が多く集客を見込めるアメリカ国内で開催されている。
出場7カ国中5カ国にゴールドカップへの出場権が与えられる予選としては非常に緩い大会で、例年(基本的には1月に開催される)はAマッチデーではないため国内組編成のチームがほとんどであるが、今大会はAマッチデーと重なったことと優勝国に2016年に行われるコパ・アメリカ100周年記念大会への出場権が与えられることもあり、コスタリカやパナマなどはベストに近いメンバーで臨んでいる。
今大会は奇数の7ヵ国が4-3と2つのグループに分かれて戦い、グループ首位が決勝、同2位が3位決定戦、同3位が5位決定戦にまわる(A組最下位のみが敗退)システムとなっているが、10日までにA組はグアテマラ、B組はコスタリカが首位通過を果たし、3位決定戦に進むエルサルバドルとパナマまでの4ヵ国が既にゴールドカップへの出場を決めた。ゴールドカップ出場枠は残すところあと1つとなっている。
W杯直後に行われる今大会で何より目に付くのは5バック(3バック)を使用するチームだ。出場7カ国中、グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ベリーズ、ニカラグアと実に5カ国が3バックを採用している。W杯での潮流、取り分けコスタリカの戦いが影響したことは間違いないであろう。中米は気候的な事情もあり、本来はメキシコのようにボールをしっかり繋ぐサッカーが主流であるが、戦力的には劣りながら一丸となった守備から鋭いカウンターを駆使した攻撃により中米最高成績となるW杯ベスト8を達成したコスタリカの躍進が、中米各国に紛れもなく大きな自信を与え、成功のお手本となっているのである。
その影響を上手く取り込んだのがグアテマラだ。コスタリカと同じ5-2-3を採用し、激しい守備から3トップにいち早く繋ぐカウンターでグループリーグ3連勝。その結果、グアテマラはこれまでW杯への出場経験がないにもかかわらず、FIFAランキングのポイントで日本を上回る状況となっている。チームを牽引するのがオランダ・ヘーレンフェーンに在籍した経験を持つマルコ・パッパ。オランダではコスタリカのブライアン・ルイスのようには活躍できなかったが、MLSではトッププレーヤーとして知られる26歳のMF/FWである。左利きでテクニックに優れ、右サイドからの仕掛けを得意とするルイスに似たタイプで、丁度コスタリカにおけるルイスの役割を担い3試合4ゴールを記録、決勝進出の立役者となっている。
一方、コロンビア人ホルヘ・ルイス・ピント監督との契約延長交渉に失敗し同国の英雄パウロ・ワンチョペ(元FC東京)が指揮を執るコスタリカは、初戦でニカラグアに手を焼き、パナマには2点ビハインドを強いられるなど、決勝にはなんとか駒を進めたものの苦しんでいる。また、W杯出場国で11月に日本代表と対戦するホンジュラスもコスタリカ人エルナン・メドフォード新監督の下3試合1勝2敗でグループ3位となり、解任論が早くも囁かれているなど厳しい状況に追い込まれている。本日、ゴールドカップ出場をかけ、世界最貧国の1つニカラグアと対戦する。
これまで中米はコスタリカを軸にホンジュラス、パナマにグアテマラ、エルサルバドルが続き、大きく離れてニカラグア、ベリーズが最下位を争っていた。しかし近年はニカラグア、ベリーズが初めてゴールドカップに出場するなど実力差は急速に縮まっており、加えて今W杯でのコスタリカの躍進が同国と同等かそれ以上に各国に自信と闘争心を植え付け、中米に新たな激動の時代を生み出しているのである。
中米杯の決勝グアテマラ対コスタリカ、3位決定戦エルサルバドル対パナマ、5位決定戦ホンジュラス対ニカラグアは日本時間の今日深夜から朝にかけて行われる。