世界最古のサッカー協会を持つのは、「サッカーの母国」とも呼ばれるイングランドだ。

イングランドサッカー協会の英名はEngland Football Associationではない。 The Football Association(FA)だ。

その理由はFAが創設された当時はまだどの国にもサッカー協会がなく、FIFAのような世界的機構もなかったためだ。それゆえFootball Associationの前に国名を付ける必要がなく、その名残り現代でも活きているのだ。それだけ歴史があるということである。

そんなイングランドサッカー協会の公式HPがなかなか素敵な取り組みを取り入れているのをご存知だろうか?

試しに こちらのページをクリックしていただきたい。

タイトルには"Danny Welbeck double seals England victory in Switzerland"と書いてある。現地時間8日に行われた2016年欧州選手権予選のスイス戦の結果を伝える記事である。

このHPのどの辺りが革新的であるのか?それは、この記事の文字をドラッグすれば分かる。

そう、FAの公式HPでは文字を音声で読み上げてくれる機能が掲載されているのだ(一部スマートフォンは非対応)。

上はその読み上げ機能を使った際のキャプチャー画像である。文字をドラッグすると音声プレーヤーが出現する。横向きの三角印のボタンを押すと、記事内の文字を読み上げてくれるのだ。

この技術がすごいのはそれだけではない。なんと、 発音している単語にはマーカーが引かれ、ユーザーをリードしてくれる。発音はきわめて滑らかであり、機械音声にありがちなメカメカしいぎこちなさはない。

FAの狙いは不明だが、こういった配慮によりユーザビリティが上がることは間違いない。まず、目が不自由な人のアクセシビリティが抜群に向上する。また、英語圏外の英語の苦手なファンが読む一助となるかもしれない。

実際、こんな所も充実している。

With the injury to Sturridgeから始まる一文だが、この文章ではコンマが多く、文の構造が少々分かりづらい。が、この機能では句や節でまとめてマーカーを引いてくれるため、英語初心者も構文が取りやすいのだ。

余談だが、この音源はMP3形式でダウンロードすることも可能。英語もニュースのように早くなく、当然文法的にも整っている。サッカー好きの受験生は、受験勉強にも使うことができるかもしれない。

いずれにしても、「サッカーの母国」と呼ばれるイングランドがこのような取り組みをしていることに、大きな意味を感じざるをえない。もちろん、こうした技術を全ての協会、クラブが導入できるわけではない。

しかし、ユーザーの立場に立ち、どうすればより多くの人に見てもらえるか、あるいはどのすれば多くの人に満足してもらえるかと考える“ユニバーサル”な視座はサッカーに携わる全ての広報担当者に求められるものだろう。

世界最古のサッカー協会の取り組みに、現代社会ならではの工夫を見た。

【リンク】イングランドサッカー協会公式HP

※各記事の中腹に"Listen"の文字があり、そこをクリックすれば全文が読み上げられます。

【厳選Qoly】東南アジア最強を決める三菱電機カップで日本出身選手が躍動!活躍する日本出身の5選手を紹介