今季もまた熱きリーガ・エスパニョーラの季節がやってくる。
そのリーガの主役のひとりとなるのは今年もクリスティアーノ・ロナウドであろう。 マンチェスター・ユナイテッド、レアル・マドリーというビッグクラブでまばゆいばかりの輝きを放ってきたCR7が初めてプロとして刻んだゴールを振り返ってみたい。
今からおよそ12年前の2002年10月7日、本拠地、ジョゼ・アルバラーデでスポルティング・リスボンの一員として初めてリーグ戦のピッチに立ったロナウド。 当時17歳の若者はモレイレンセ相手にいきなり2ゴールを叩き出してチームを勝利(3-0)に導いたのだった。記念すべきキャリア初ゴールは圧巻であった。
中盤でボールを奪ったスペイン人MFトニート(30番)からヒールパスを受けたロナウドはゴールだけを目指し突進。 追いすがるDFたちをものともせずに突き進むと、得意のシザースから右へ持ち出すと飛び出してきたGKより早くスライディングでボールを捕えてゴールを揺らした。 ゴール以外眼中にないかのような“我”の強さが今見ても伝わってくる。
ロナウドがフットボール界でうぶ声をあげたこの瞬間について、当時の選手たちの言葉を拾ってみる。
まずは記念すべき初ゴールをアシストしたトニートが2012年に『record』や『supersporting』に語った話。
「もちろん覚えている。僕が中盤でボールを奪い返して彼にパスした。あとは彼がやった」
「今となっては(ロナウドの)成功を予期していたと語るのは簡単だよ。でも、僕は彼を知った時からずっと言ってきた。
フットボールで成功するポテンシャルが彼にはあった。彼がどうするかだけだった。彼もそれを分かっていた。到達したレベルがその説明さ」
「何よりもメンタリティに優れている。
世界で最も心理的に強い選手さ。フットボール界のマイケル・ジョーダンだよ。
自分自身を鍛え上げるリアル・ビーストだった。毎日夜までトレーニングしていて、彼が帰宅するのを待たなきゃならなかったものさ」
お次はロナウドのこの試合2点目となるヘディングシュートをコーナーキックから演出した元ポルトガル代表左SB、ルイ・ジョルジュ。
「2つの素晴らしいゴールを決めた。初ゴールしたのはスポルティングでのリーグ戦初の試合だったと思う。当時、彼とリカルド・クアレズマのどっちがスタメンがという論争があった、そして彼(ロナウド)が台頭(?)していった」 (この試合では2人ともスタメン)
では、当時の相手選手たちはどうだったのだろうか。
当時モレイレンセのゴールを守っていた元アンゴラ代表GKジョアン・リカルドは2012年に『desporto』でこう話している。
「論理的にはイラつく瞬間だった。17歳の少年が中盤でボールを受けて誰もボールを奪えなかったのを見るのはね。でもそういう不満もその時だけさ」
「今(覚えているのは)天才的だった。2つの矢(足?)を使い、中盤でボールを持つと私を含め全員をドリブルしていった。そしてゴールを決めた。
後半にはコーナーキックでの彼のヘディングがクロスバーに当たるシーンもあったんだ。ハットトリックをしていたかもしれない」
もうひとり当時モレイレンセに所属していたGKホベルトは今年4月、『globo』にこう語っている。ブラジル出身のホベルトは現在35歳、ポンチ・プレッタで現役としてプレーしている。
「素晴らしいゴールだった。彼が中盤から飛び出し、3人の選手を突破して、ボックス外からシュートを打ったのを覚えている。(実際にはボックス内)彼がさらに追加点を決めたので、うちのチームは打ちのめされた」
「彼とともに働いた人達ともプレーしてきた。彼はすごく(フットボールに)コミットしてきたとみんな言うんだ。
いつも誰よりも早くトレーニンググラウンドにきて、ウェイトトレーニングで体をパーフェクトにしていたって」
「時に才能のある人間はいるが、努力はしない。想像してみてくれ、あなたに才能があったなら、懸命に努力するだろうか?」
当時からその才能は確かなものであったが、たゆまぬ努力を続けてきたことで現在の地位にまで上り詰めたということなのだろう。
今シーズン中(来年2月)に30歳になるロナウドがどのようなプレー見せてくれるのかに期待したい。
レアル・マドリーはアトレティコとのスーペル・コパ第2戦を戦った後の26日(日本時間)にハーフナー・マイクも所属するコルドバをベルナベウに迎えての一戦でシーズンをスタートさせる。