1月11日、評論家を務めている元オーストラリア代表MFのロビー・スレイター氏は、サンデー・テレグラフ紙に「Aリーグはイングランドと同じ道を辿っている」というコラムを掲載した。
ロビー・スレイター氏は1964年生まれの49歳で、イングランド生まれであるが若くしてオーストラリアに移住した経験を持つ。
選手としては欧州で長く活躍し、アンデルレヒトやランス、ブラックバーン、ウェストハム、サウサンプトンなどのクラブに所属。オーストラリア代表としても28試合に出場した。
引退後はコメンテーターや評論家としてメディアで活躍。辛口としても知られ、これまで記事を巡ってハリー・キューウェルと対立したこともある。
ちなみに、息子のトム・スレイターもセントラルコースト・マリナーズに所属しているサッカー選手である。
サンデー・テレグラフ
ロビー・スレイター 元オーストラリア代表MF
「シドニーFCが新たに獲得したセルビア人MFミロシュ・ディミトリエヴィッチについては何とも言えない。それは、単に私は彼を知らないからだ。
我々は、若いオーストラリア人の才能の不足を嘆き続けなければならない。サッカールーズ(オーストラリア代表チームの愛称)が、既に使用期限が切れた選手を支援し続け、衰えていくのを目の前で見てきたのだ。
その一方で、年代別の代表チームは苦戦している。オリンピックの予選を突破することは出来なかった。
そこで、二つのクエスチョンが出てくる。
才能の不足があるのか?
あるいは、若い選手が単にチャンスを与えられていないのか?
オーストラリアを拠点としている9チームの中に、39人もの外国人選手がいる。それらのほとんどは旅人であり、自国では辛うじて知られているような選手だ。もちろん、海外では言うまでもないね。それらが地元の選手の邪魔をしている。
イングランド代表の問題点を考えれば、ほとんどの人が一つの結論に行き着くだろう。プレミアリーグでプレーする外国人の数、という結論にね。
我々は同じ道を辿っているんだ。
ニコラ・ペトコヴィッチは、今季シドニーFCで最もいいパフォーマンスを見せている選手だし、誰もアレッサンドロ・デル・ピエロがリーグにもたらしたものを否定することは出来ない。
しかし、もっと大きな問題があるのだ。Aリーグのクラブは、地元の才能を育てることに、そして代表チームの運命に対して、どの程度の責任を背負えるか?
もし、それを無視するならば、ユースリーグを運営している理由は何なのだ? 地元でチャンスが得られないから、若い選手をどんどん海外に送っている。これは正しい道ではないよ。
マーキー・プレイヤー(サラリーキャップ制に該当しないスター選手)は、全て有名な選手だよ。彼らはリーグに価値をもたらしてくれる。とりわけデル・ピエロと小野伸二は、どんな金にも換えられない価値をオーストラリアに与えてくれている。
私は単なる外国人嫌いじゃない。オーストラリアの全体像を見ているだけだ。
ディミトリエヴィッチはスターになる可能性がある。スカイ・ブルーズ(シドニーFCの愛称)にタイトルをもたらすかもしれない。しかし、それがリーグ全体のためになるのかどうか?
セントラルコースト・マリナーズ(4人)、ブリスベン・ロア(4人)、メルボルン・ヴィクトリー(3人)と、より外国人が少ないチームが過去数年間で結果を出していることは興味深いし、報われている。
オーストラリアが世界の舞台で成功したいのならば、我々は自国の若い選手の目の前に障害物を投げ込み続けるような真似をしてはいけない。
黄金世代を見ればいい。ハリー・キューウェルやマーク・ヴィドゥカ、ブレット・エマートンなどは、若い頃からチャンスを与えられてきたんだ。彼らはそれを振り返ることはない。
私は、オーストラリアのフットボールの将来について、多くの注意が必要であると思う」
ニュージーランド人を除いたAリーグクラブの外国籍選手数
アデレード(6人):カッシオ、ヘロニモ・ネウマン、イサイアス、シリオ、カルスカ、ファビオ・フェレイラ
ブリスベン(4人):ベサルト・ベリシャ、リアム・ミラー、トーマス・ブロイヒ、エンヒーキ
セントラルコースト(4人):ジョン・ハッチンソン、マルコス・フローレス、ニック・モンゴメリー、マルセル・サイプ
メルボルンH(6人):パトリック・ゲルハルト、ミカエル・ミフスド、ホナタン・ヘルマノ、ロブ・ウィーラールト、オルランド・エンヘラール
メルボルンV(3人):ギリェルミ・フィンクレル、アダマ・トラオレ、パブロ・コントレラス
ニューカッスル(3人):エミール・ヘスキー、マイケル・ブリッジス、ケウ・ヤリエンス
パース(4人):永井龍、シジネイ、ウィリアム・ギャラス、スティーヴン・マクギャリー
シドニー(6人):アレッサンドロ・デル・ピエロ、アリ・アバス、ランコ・デスポトヴィッチ、ミロシュ・ディミトリエヴィッチ、テリー・マクフライン、ニコラ・ペトコヴィッチ
ウェリントン(6人):マニー・マスカット、ポール・アイフィル、カルロス・エルナンデス、ケニー・カニンガム、アルベルト・リエラ、スタイン・ハイセヘムス
ウエスタンシドニー(5名):小野伸二、ユスフ・ヘルシ、ジェローム・ポレンツ、ヤコポ・ラ・ロッカ、マテオ・ポリャク