バイエルン・ミュンヘンにとっての12-13シーズンは、ほぼパーフェクトと呼ぶにふさわしい内容だった。

29勝4分1敗による史上最速のリーグ優勝、無敗によるカップ戦優勝、そして、準決勝でバルセロナを粉砕し、決勝でドイツ勢対決を制したUEFAチャンピオンズリーグの優勝―。

ペップ・グアルディオラという偉大なる後任者が決まっていながら、ユップ・ハインケス前監督は文句なしの成績を収め、バイエルンの12/13シーズンに幕を下ろした。まさに記録と記憶の両方を携えての快挙だった。

そんなバイエルンの年次総会がこのほど行われたが、なんとも感動的なシーンがあったと話題になっている。

それは、バイエルンのウリ・ヘーネス会長が壇上に上がり、スピーチを始めた時だった。

突然、会場にいたファンが拍手を始め、スタンディングオベーションを始めたのだ。

拍手は鳴り止まない。むしろ、スピーチが続くにつれてそのヴォリュームは大きくなり、立ち上がる人の数も増えていった。中にはプラカードを掲げたファンの姿もあった。おそらく、最高のシーズンをもたらしてくれたフロント陣への感謝の言葉が記されていたのだろう。

そして、この日最大の拍手がやってくる。会見終盤、サポーターたちが再び立ち上がり、一斉に拍手喝采を浴びせたのだ。

ウリ・ヘーネス会長は涙を流すしかなかった。

実は先日、脱税容疑でウリ・ヘーネス会長が起訴されるというニュースがドイツでは伝えられていた。さきほどの拍手の様子に耳を澄ますと、一部からはブーイングのようなものが飛んでいるのが分かる。

しかしそれでも、会場に押し寄せた4000名ものサポーターの総意は、ヘーネス会長への感謝と賛辞だった。おそらくウリ・ヘーネス自身も、そんなスキャンダルがあったにもかかわらず、多くのサポーターが拍手を送ってくれるという事実に心を動かされたに違いない。

ヘーネス会長を讃える“Uli!!”コールと万雷の拍手は止まらない。そして、ヘーネス会長の頬を伝う涙もまた止まることはなかった。

3冠という圧倒的な成績を残したバイエルンンの12/13シーズンは、収益の面でも大きな潤いをもたらした。サポーターにとって、まさにパーフェクトな1年だったと言って良い。

そして彼らは、ペップ・グアルディオラという革命児に率いられ、今シーズンも邁進する。フロントとサポーターの美しい関係性が、バイエルンの年次総会にあった。

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