はじめてまして、小松輝仁と申します。このたび、Qolyさんでコラムを書かせて頂くことになりました。

あまり深い内容のものを書くことはできませんし、文章力も稚拙です。それでも、読者の皆さんと一緒に楽しみながらやっていけたら良いなと思っていますので、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします。


ローン移籍中も心にあるのは夢への強い想い。そんなことが窺える、非常に喜ばしいシーンだった。

10月5日に行われたプレミアリーグ第7節のマンチェスター・シティ対エヴァートン戦で、エヴァートンFWロメル・ルカクが見せたゴールパフォーマンスがチェルシーサポーターの間で話題を呼んだ。

今夏チェルシーからエヴァートンにローンで加入した20歳のベルギー代表ストライカーは、前半15分にカウンターから独力で相手DFを切り崩して先制点をマーク。直後、両膝をついてスライディングしながら、右手で敬礼ポーズを作るパフォーマンスを披露した。

このシーンがエバートンサポーターを歓喜させたのは言うまでもないが、チェルシーサポーターの心もがっちりと掴んだ。理由はそのパフォーマンスが、ディディエ・ドログバの真似をしたものだったからだ。

エヴァートンで単身武者修行を積みながらも、見据えているのは憧れの先輩に近付き、憧れのクラブで成功すること。そんな思いが込められていたのではないか、とSNSには世界中のチェルシーサポーターから多くの書き込みがあった。

元をたどれば、ルカクがチェルシーに憧れるようになったきっかけは2000年9月のマンチェスター・ユナイテッド対チェルシー戦。この試合でチェルシーFWジミー・フロイト・ハッセルバインクが叩き込んだスーパーボレーに衝撃を受け、特別な想いを寄せるようになったという。

以来、サポーターとしてブルーズを熱心に応援し始め、10歳の頃から本気で入団を志すようになった。部屋に父親と称する目標のドログバのポスターを貼り出し、学生時代の修学旅行ではスタンフォード・ブリッジを訪問。昨季ローン移籍先のWBAで35試合17ゴールという目覚しい活躍を見せる最中も、チェルシーに戻って定位置を掴むことを常に考えていたと語るほどの“ホンモノ"だ。

それだけに、今夏の移籍市場で締め切り直前になってまさかの再ローンを告げられた際には、チェルシーサポーターから慰めや同情の声が寄せられ、一部ではクラブの方針に疑念を抱く者もいた。だが、当の本人は決して不満を漏らさず、戦力として認められることだけを目指して黙々と努力を重ねている。中でも対戦するDFの特徴を把握するために、プレミアリーグの全試合を観ているという研究家ぶりには脱帽だ。そしてこの原動力となっているのが、今も昔も変わらない「夢」なのだ。

全ては憧れのチェルシーで成功を掴むためーー。

たったひとつのゴールパフォーマンスではあるが、あのシーンからはルカクの強い想いが読み取れた。この男は、必ずや成功を掴む。そう信じずにはいられない。


著者名:小松輝仁

プロフィール:長野県在住のサラリーマン。中学時代にチェルシーに魅せられ、サッカーの「観る楽しさ」に気付く。その魅力を広く伝えるため一度はサッカーメディアに拾ってもらうも、途中で無謀な夢を抱いて退社。現在はその夢を叶えるために修行中。

ツイッター: @blue_flag_fly

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