近年、ヨーロッパの舞台でもますます存在感が増すアジア人プレーヤー。中でも突出したタレントを多く輩出しているのが日本と韓国の両国であることは、もはや言うまでもないであろう。
パク・チソンや香川真司に代表されるように、今やヨーロッパのトップレベルでも日韓プレーヤーへの需要は高く、それぞれの選手が自らの経験を代表チームへと還元し、理想的なサイクルが生まれつつある。
では、日本人選手と韓国人選手はそれぞれ、何人がヨーロッパのトップレベルで戦っているのだろうか?代表チームではほぼ同じレベルにある両チームだが、クラブの所属に違いはあるのだろうか?
今回は、欧州でも最も影響力の高い4大リーグに所属する全日韓プレーヤーをピックアップし、その在籍や分布にどのような違いがあるのかを考察してみることにしたい。
まずは、欧州のトップレベルで活躍する日本人選手を確認してみることにしょう。
<4大リーグ所属の日本人選手>
宮市 亮(アーセナル / ENG)
香川 真司(マンチェスター・ユナイテッド / ENG)
吉田 麻也(サウサンプトン / ENG)
李 忠成(サウサンプトン / ENG)
長友 佑都(インテル / ITA)
内田 篤人(シャルケ / GER)
乾 貴士(アイントラハト・フランクフルト / GER)
酒井 宏樹(ハノーファー / GER)
酒井 高徳(シュトゥットガルト / GER)
清武 弘嗣(ニュルンベルク / GER)
長谷部 誠(ニュルンベルク / GER)
岡崎 慎司(マインツ / GER)
細貝 萌(ヘルタ・ベルリン / GER)
【ポジション別内訳】
GK:0人 / DF:5人 / MF:5人 / FW:3人
今シーズン、欧州4大リーグに登録された日本人は13人。在籍はプレミアリーグが4名、セリエAが1名、ブンデスリーガが8名と、イングランドとドイツの二極化が進んでいることが分かる。
日本人選手の在籍の特徴は、ブンデスリーガに占める選手の割合が特出していることにある。これはおそらく香川真司がドルトムントで大ブレイクを果たしたことによるものが大きく、香川のブレイク以来、ブンデスリーガの各スカウトは、遠く離れた日本のマーケットをより意識するようになった。さらに、内田や長谷部の継続的かつ献身的な活躍もあり、日本人選手に対する需要が急激に増したと推測することができる。
また、サイドバックを本職とする選手が4名、二列目を本職とする選手がこちらも4名と、日本人特有の機動性や加速力がヨーロッパのトップレベルでも通用するということを暗に示している。
では、欧州トップリーグに所属する韓国人選手を見てみることにしよう。
<4大リーグ所属の韓国人選手>
パク・チュヨン(アーセナル / ENG)
キム・ボギョン(カーディフ / ENG)
チ・ドンウォン(サンダーランド / ENG)
キ・ソンヨン(サンダーランド / ENG)
キム・ヨンギュ(アルメリア / ESP)
ソン・フンミン(バイアー・レヴァークーゼン / GER)
ク・ジャチョル(ヴォルフスブルク / GER)
パク・チュホ(マインツ / GER)
ホン・ジョンホ(アウクスブルク / GER)
【ポジション別内訳】
GK:0人 / DF:2人 / MF:4人 / FW:3人
今シーズン、欧州の4大リーグに登録された韓国人選手は9人であった。在籍チームはプレミアリーグとブンデスリーガがともに4人、さらにはスペインリーグが1名。こうして見ると、韓国人選手も日本人同様、プレミアリーグとブンデスリーガに在籍が集中していることが分かる。
昨シーズンまでボルトンで活躍していたイ・チョンヨンこそ二部に降格してしまったが、韓国代表のレギュラークラスが勢揃いしているのを見ると、韓国代表も欧州組が中心であることには間違いないようである。
この中で、今シーズン目を見張る活躍をしてるのは、新チームでレギュラーの座を掴んだソン・フンミンだ。ソンは昨シーズン、ハンブルガーSVでブレイクを果たし、今シーズンレヴァークーゼンに移籍。体の線は細いが、縦への推進力に長け、鋭いドリブル突破から相手ゴールへ襲いかかるアタッカーであり、「香川を超える逸材」との評価もある注目の選手だ。
また、パク・チュヨンやチ・ドンウォンといった体を張ることのできる屈強なCFがこの舞台に所属していることも、韓国ならではの特徴だといえるだろう。フィジカル勝負に強い選手を韓国はこれまで何人も輩出しており、日本人にはなかなかいないタイプを多く揃えている。この点に関しては、日本と大きく異る部分かもしれない。
こうして見てみると、日本人選手と韓国人選手の欧州進出に大きな違いはないことが分かる。
もちろん、人数自体は日本人選手の方が多いが、ポジションの内訳や在籍リーグに大きな違いはなく、欧州のトップリーグが日韓両国の選手に求めるスペックはそれほど多くは変わらない。今後、日本人選手が韓国人選手とポジション争いを繰り広げることも十分ありえる話だろう。
今年6月、仲良く揃って翌年のW杯出場を決めた日本と韓国。代表チームだけでなく、個人レベルでも激しい戦いが続きそうだ。
※今回取り上げたのは、2013年9月20日現在でトップチーム登録されている選手です。