Qoly編集部で移籍関係の記事を担当しているLです。移籍マーケットもデッドラインが間近に迫り佳境を迎えつつあります。猫も杓子も移籍、移籍という時期ですが、そんなマーケットの情報をウォッチングしている担当としてここまでの移籍をゆるりと振り返ってみたいと思います。

主力や大物選手の移籍は少なめ?

今年は主力選手の移籍や大型移籍が例年に比べて控えめと皆さんも感じているのではないでしょうか。1つの理由として考えられるのはワールドカップを目前に控えたシーズンという事です。既に所属クラブでレギュラーであり代表にも選出されているような選手にとって新天地に向かう事は非常にリスクが伴います。特にそれが国外となると尚更でしょう。

イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、フランス、オランダ、ポルトガルという主要なリーグを抱える国がそれぞれ別の言葉を母国語としていることも少なからず国外移籍を敬遠する原因となっているでしょう。もちろん元々多言語話せる選手もいますし、南米の選手は大半がスペイン語を、そしてブラジルの選手はポルトガル語を話す事ができるため、言語が移籍を遠ざける最大要因というわけではありません。しかしイングランドの選手のように国内のプレミアリーグでプレーするのが当たり前の環境の中、国外へ旅立つのは非常に勇気の必要とすることです。ウェイン・ルーニーの移籍については国外への移籍は望まない、という報道が繰り返されているのもこうしたことが原因ではないでしょうか。環境の変化に適応する難しさというのは日本人海外組の歴史からも見てご理解頂けるはずです。

予想通り移籍を果たした大物選手たち

この夏のマーケットにおける話題の中核を担ったのは中堅クラブからビッグクラブへとステップアップを果たす可能性のある選手たちでした。エディンソン・カバーニ、ラダメル・ファルカオ、ステヴァン・ヨヴェティッチ、イスコらです。彼らは既に中堅クラブで結果を残しており、また残りの契約年数もふまえた上でこの夏の移籍が有力視されていました。

そんな「移籍濃厚」な選手たちに加えて話題となっていたのは、契約延長について報じられきたクリスティアーノ・ロナウドや退団を志願したといわれるウェイン・ルーニーやルイス・スアレス、そして「マンチェスター・ユナイテッドの恋人」と呼ばれたチアゴ・アルカンタラ、セスク・ファブレガスなどです。個人的には契約年数問題を抱えていたチアゴ・アルカンタラを除けば彼らたちが本当に移籍する可能性は低いと思っており、もし発生するとしても移籍のタイミングは7月の早い段階を想定していました。残りの日数で移籍する可能性は低いと予想しています。

ネイマールの移籍は予想外?

ここまでをふまえると個人的にはネイマールの移籍は少しビックリしました。今年の夏ではなく来年の夏に移籍する方が可能性が高いと考えていたからです。何かバルセロナ側からの保証があったか、サントス側が売却のタイミングを今夏に設定していたか、ネイマール側がブラジルからスペインへ渡るという事に関するリスクを取ったかのいずれとみて良さそうです。

恒例となりつつある「ユナイテッドの恋人」

プロ野球の報道で用いられる「虎の恋人」を拝借した形で揶揄させてもらいましたが、毎年恒例のようにマンチェスター・ユナイテッドは多くの恋人とロマンスの噂が流れました。今年はポール・スコールズの本格引退に伴い中盤の核となる選手と浮き名を流しています。チアゴ・アルカンタラとセスク・ファブレガスの両名には振られてしまった格好ですが、今度は毎年恒例のルカ・モドリッチ獲得説が浮上。本当かどうかもはや誰にもわかりません。

こうしてちょっと冷めた眼で見てしまうのは、なんだかんだとユナイテッドが噂通りの獲得を達成したケースが非常に少ないからではないでしょうか。毎年のようにポール・スコールズの後継者、ライアン・ギグスの後継者、リオ・ファーディナンドの後継者の名前が浮上しているのに慣れてしまったとも言えるでしょう。これはイングランドのメディアの性質にもよるのですが、マーケットが開くたびに多くの大物選手がユナイテッドのスカッドに当てはめられます。「そんな一時期のチェルシーじゃないんだから・・・」と冷静に見てしまうファンも多いはずです。もしユナイテッドが噂通りの大型補強を敢行すれば数千万ポンドではなく1億ポンド以上の補強費が必要になるため、話半分で受け取っておいた方が良いのは間違いないでしょう。

ベイルの移籍騒動がマーケットの混乱を加速させている?

トッテナムのギャレス・ベイルの移籍はマーケットの中盤戦から徐々に本格化したという印象です。ニューヨークの広告が撤収された、トッテナムの公式Twitterアカウントから消えた、など色々な報道で移籍が近いといわれてきましたが、彼が本当にレアル・マドリーへ移籍する事になれば、「弾き出される選手」が少なからず発生するはずです。特にレアル・マドリーではスタメンを張る機会が少なく、代表クラスの選手たちにとっては非常に気になるニュースでしょう。もちろんチームの事を考えれば選手の層が厚い事は大歓迎だと思いますが、「全ての選手が望むワールドカップ」を目前で逃す事は皆避けたいはずです。現在はレアル・マドリーの2列目の選手(メスト・エジル、アンヘル・ディ・マリア)やストライカーのカリム・ベンゼマに移籍の噂が浮上しているのはこうした状況を鑑みたものだといえるでしょう。

終盤戦に投じられた”エトー爆弾”と”カシージャス爆弾”

マーケット閉鎖が近づいて突如マーケットに投じられたのはサミュエル・エトー、イケル・カシージャスという超大物選手の移籍という爆弾級の話題だ。

エトーがアンジ・マハチカラから退団するというニュースは欧州のクラブを色めき立たせる結果となりました。年俸2000万ユーロといわれる世界最高給のストライカーには多くのクラブが接触しています。32歳であり高額年俸という事を考慮すると行き先はなかなか想像しづらいですが、まずはアンジ・マハチカラとの契約解除交渉が水面下では進められているのではないかと推測しています。

スペイン代表の守護神、カシージャスが開幕戦でベンチだったことは、世界中のサッカーファンとメディアを驚かせました。そしてすぐさま報じられたのはカシージャスの移籍報道。このままカシージャスがベンチを温め続ける事になれば連覇を目指すワールドカップへの道が途絶える可能性があるだけにごくごく自然な流れですが、レアル・マドリーが本当に放出を考えているかは現状では判断がつきません。もし彼が他のビッグクラブへ移籍するとなればGKの玉突き移籍が発生するかもしれませんが、少々時間が足りない、という印象も拭えません。

(後編へ続く)

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