8月3日にカシマスタジアムで行われたJ1第19節大宮アルディージャ戦で1ー0の勝利を収めた鹿島アントラーズ。リーグ戦4試合ぶりの白星を手にし、7日に開催される「スルガ銀行チャンピオンシップ 2013 IBARAKI」へ向けて弾みをつけることができたと言えるだろう。

さて、今回の「ロッシの鹿島リポート」では、スルガ銀行チャンピオンシップで対戦するサンパウロFCの歴史や選手を紹介することで、間近に迫った注目の一戦をより楽しめるようにしたいと思っている。ブラジル屈指の名門として知られるサンパウロと鹿島アントラーズの接点や注目選手など、要チェックのポイントをいくつか挙げていきたいと考えているので、是非とも最後まで目を通していただきたい。

 

・『キャプテン翼』とも関係があるビッグクラブ

サンパウロはサンパウロ州を本拠地とするサッカークラブで、1935年に創設された。ブラジル全国選手権を6度、サンパウロ州リーグを21度制した経験を持つブラジル屈指の名門で、コパ・リベルタドーレス、クラブW杯といったビッグタイトルもそれぞれ3回ずつ制覇するなど、国際舞台でも存在感を顕示。昨シーズンはコパ・スダメリカーナ決勝でアルゼンチンのティグレを退け優勝し、スルガ銀行チャンピオンシップへの切符を手にした。

ライバルは同じくサンパウロ州を本拠地とするコリンチャンス、サントス、パルメイラスなどで、これら名門クラブとの対戦は「クラシコ」と呼ばれ、毎回白熱を極める。カフー、ライー、ファルカン、ジュニーニョ・パウリスタ、ベレッチ、リバウド、カカ(現レアル・マドリー)、エルナネス(現ラツィオ)、ジュリオ・バチスタ(現クルゼイロ)などブラジル代表でも活躍した名手たちがクラブOBに名を連ねており、この錚々たる面子からもクラブの伝統が伝わってくる。また、呂比須ワグナー(柏レイソル、ベルマーレ平塚など)、セザール・サンパイオ(横浜フリューゲルス、柏レイソル、サンフレッチェ広島)、カレカ(柏レイソル)、フランサ(柏レイソル、横浜FC)、ワシントン(東京ヴェルディ、浦和レッズ)など日本と関係が深いOBも多く、サッカー漫画『キャプテン翼』の主人公である大空翼が所属していたことでも有名だ。

そして、特筆すべきは今回対戦する鹿島アントラーズとの関係性だろう。アントラーズを率いるトニーニョ・セレーゾは現役時代にサンパウロで活躍。アルシンドやレオナルドそして昨シーズンの指揮官ジョルジーニョといった歴代のレジェンドに加え、ファビオ・サントス、ダニーロ(現コリンチャンス)、ファボンもアントラーズでプレーした経験を有する。更に、サンパウロの指揮を執るのは2006/07シーズンにアントラーズを率い、内田篤人(現シャルケ)をブレイクさせたパウロ・アウトゥオリということで、鹿サポにはたまらない一戦となることは間違いない。

・注目は2人の技巧派と異色の守護神

サンパウロにはブラジル代表経験を持つ実力者が少なくない。その中でも一段ときらめく才能の持ち主がガンソだ。現代には珍しい古典的なゲームメーカーで、精度の高い芸術的なスルーパスで相手守備陣を翻弄。そのプレースタイルは元アルゼンチン代表のフアン・ロマン・リケルメ(ボカ・ジュニアーズ)を彷彿とさせる。サントス時代にはミランやインテルからの関心が伝えられた逸材で、2011年のコパ・アメリカでは背番号10を託されたが、怪我もあってその後はトーンダウン。セレソン(ブラジル代表の愛称)復帰、そして来年に迫った母国開催のW杯へ向け、完全復活をアピールしたいところだ。

 

 

そして、ガンソに勝るとも劣らない技巧を誇るジャジソンにも注目だ。ウクライナの強豪シャフタール・ドネツクで声価を高めたアタッカーで、小柄ながら局面打開力に優れる。2011年のコパ・アメリカ、そして先日のコンフェデレーションズカップでセレソンに名を連ねている現役ブラジル代表のテクニックに是非とも酔いしれて欲しい。

更に、ゴールキーパーながらフリーキックを蹴ることで知られているホジェリオ・セニも要チェックの選手である。2度のW杯を経験した40歳の大ベテランはチームの精神的支柱であり、欠かせない選手のひとりだ。ちなみに、これまでのキャリアで積み重ねてきたゴールは100ゴール以上で、GKとしては歴代最多となっている。今シーズンもフリーキックを沈めた守護神にチャンスを与えないためにも、アントラーズの選手たちはペナルティエリア付近で不用意なファールを犯さないようにすべきだろう。

 

 

国内リーグで下位に沈むサンパウロだが、タイトルが懸かった試合となれば名門の意地を見せつけてくるに違いない。今回の遠征メンバーには、バイエルンやインテルで活躍し、セレソンでキャプテンを務めたこともあるルシオ、セビージャなどでゴールを積み重ねてきたルイス・ファビアーノ、若くしてイングランドに渡り、古巣で再起を図るデニウソンは残念ながら含まれていない。しかし、ガンソ、ジャジソンら実力者が多いだけにアントラーズにとっては簡単な相手ではないはずだ。関係が深い両チームによる真夏の激戦を楽しみにしたいと思う。

2013/8/4 ロッシ


 

筆者名:ロッシ

プロフィール:エル・シャーラウィ、ネイマール、柴崎岳と同世代の大学生。鹿島アントラーズ、水戸ホーリーホック、ビジャレアルを応援しています。野球は大のG党。
ツイッター: @antelerossi21

【厳選Qoly】ヨーロッパでは驚き?「まだJリーグで現役を続ける信じられない5名」

日本人がケチャドバ!海外日本人選手の最新ゴールはこちら