日本 1-1 オーストラリア

82' トミー・オー

90+1' 本田(PK)

ワールドカップ予選通過を目前とした日本代表は、ホームにオーストラリアを迎えての大一番。内容で上回りながらも得点できず、逆に不運な失点を喫する展開となった。しかし最後にPKで劇的な同点ゴールを決めることに成功し、地元でW杯出場を成し遂げた。

オーストラリアはロングボールという印象があるものの、この試合ではむしろそれを逆手に取ったような戦術であった。まずは引き気味に守備をして日本を引き出して、さらに警戒されているケイヒルが下がることによって今野や吉田を引っ張り出し、その裏を2列目が狙う。そしてトミー・オーを中心としたサイドの個人突破がオプションであった。

日本は前半その狙いに何度かやられる場面があったが、川島のナイスセーブによって失点を逃れることに成功。前半終盤、また後半にはさらに今野と吉田がケイヒルにくっつかず長谷部に受け渡していく形になり、最終ラインの安定性は時間とともに上昇していった。

攻撃面では、やや細かいショートパスでの崩しにこだわりすぎていた部分以外は最初から通して大きな問題がなかった。オーストラリアの守備がかなり受け身であったため、復帰した本田には頻繁にボールが収まる状態で、それによって守備を引き付けてスペースを利用できた。

前に持っていけることでケイヒルが高い位置を取ることが少なくなり、それがオーストラリアの戦術をペースダウンさせることにもつながった。

82分の失点はかなり不運であった。試合全体を通してみれば対面する内田がトミー・オーの突破をよく押さえていたのだが、ここではマークについていてクロスの精度も殺していたにも関わらず、ずれたボールがそのままゴールに入っていった。

これによってかなり苦しい終盤に持ち込まれてしまったが、最後にようやく攻撃が報われた。ロスタイムに入ってすぐ、ショートコーナーから本田のクロスが入り、これがニアでブロックしたマッケイの手に当たり、主審がハンドを宣告。大きな重圧がかかるPKを本田が中央に蹴りこみ、起死回生の同点ゴールを決め、土壇場で出場権をつかみ取った。

もちろん、このような終盤になってしまったのはチャンスをものにできなかった決定力不足が原因であり、ペースを握りながらも突き放せなかったところは批判されても仕方のない部分である。

また失点前に前田を下げて栗原を投入した守備的な采配、そしてそれが結果的に失敗していることも想定外といえるだろう。これにはヴィドシッチがターゲットマンタイプではなく、パワープレー狙いの投入という可能性が低いことが今一つ周知されていなかったのではないかとも思わされた。

しかし2連敗した後の試合でもあり、少なくとも勝ち点1を取ることが重要であった試合。結果オーライとはいえ、復活への足掛かりとしては悪くないものになったのではないか。

 

 

【Qolyインタビュー】パリ五輪出場の東京ヴェルディMF山田楓喜、トッテナムのクルゼフスキを「自分の究極系」と語るワケ

大谷翔平より稼ぐ5人のサッカー選手