前からぼんやりと思っていたことがあります。

それは、 「UCL決勝のPK戦って、やたらとみんなPK失敗してないか?」ということです。

トレゼゲが見るからに自信無さげにボールを蹴れば、セルジーニョは豪快に枠を外し、テリーにいたってはあんな形で滑ってしまいました。あのピルロだって踊るデュデクの前に屈したし、カルボーニのシュートはカーンの奇跡的なセーブの前に敗れました。どう回想してみても、決勝のPK 戦って失敗したシーンばかりが思い浮かぶんですよね。

そこで今回は、過去のUCL決勝のPK戦を全て振り返り、あらゆるデータを検証してみたいと思います。はたしてUCL決勝のPK戦は他のPKと比べて本当に成功率が低いのか?じゃあワールドカップでのPK戦はどれくらいの成功率なのか?はたまた、キッカーはどのコースを最も狙っているのだろうか?そんな疑問をまとめています。

UCL決勝という至高の大舞台にかかるプレッシャーの大きさを、データから読み解きます。ドルトムント対バイエルンの決勝前に、参考程度にご覧いただければ幸いです。

▼データ1:UCL決勝のPK戦におけるPK成功率は66.2%

UCLPK

データを調べたところ、決勝のPK戦の成功率は66.2%でした。つまり3本に1本は外れている計算になります。

より相対的なデータにするため、他のコンペティションとも比較します。ワールドカップの全PK戦の成功率は70.6%だそうで、わずかながらUCL決勝戦の方が低い数値になっています。

また、参考までにJリーグのPKも載せています。Jリーグが発刊している 「Jリーグ公式記録集2013」によると、1993年から2012年までのJ1の中で1228本のPKが与えられ、そのうち成功したのは947本(成功率77.1%)だったそうです。 これは“PK戦"ではなくあくまで“PK"によるものですが、その数値より10ポンイトも低い数値をとっているということは、やはりUCL決勝のPK戦という大舞台にかかるプレッシャーの大きさを物語るものだと言えそうです。

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