23日、エル・パイス紙は元フランス代表選手リリアン・テュラムのロングインタビューを掲載した。主にバルセロナやフランス代表のサッカーについて語った、その1の続きをお伝えする。
(サッカーを楽しむことは出来ましたか?)
「いつもね。子供の頃からサッカーをするという夢を忘れたことは一度もない。プロになってからも、チームのシャツに自分の名前が刻まれていることは、いつも夢だった。
僕がバルサに来たのは34歳になってからだった。歳を取っていたし、驚くべき事だった。ここでサッカーをしてみたら、『これまでやっていたものは一体何だったんだ?』と感じたんだ。ようやく本物のサッカーを見つけたんだよ。
実際にプレーしてみて、バルサからは多くの影響を受けた。ただ、もっと若いときだったらな。イタリアで10年プレーした34歳がいきなり…だったから、特に守備については変化することが難しかったんだ」
(スペインのスタイルは?)
「同じだね。スペイン代表はメッシがいないバルセロナだ。中盤に試合の中心があり、ボールを持ってプレーする。ブラジルが始祖となったパスサッカーだ」
(ではフランスのスタイルは?)
「今は変わろうとしているね。スペインの強さは長い時間同じ方法でプレーしているということ。チームにはそれが必要なんだ」
(26日に行われるサンドニでの試合は?)
「バルセロナやスペイン代表の強さは、ボールを持てる事であると分かっている。とはいえ、それが勝利を意味するわけではないからね。
フランスの強さは、今偉大な監督がいるということさ。デシャンは素晴らしい選手だったし、勝利できる方法をよく知っている男だ」
(1998年、2000年のフランス代表はどうでした?)
「イタリアから多くの選手が選ばれていたから、戦術的な強さを持っていたね。それが勝利を導いた。ジダンのような天才がいたし、デシャンのようなキープレーヤーもいたしね。
ただ、今日のスペインは、あのときの私たちより強いよ」
(フランスは多文化的なチームです)
「スペインはどう? 同じだよ。フランスは確かにいろいろな肌の色の選手がいたが、文化の違いはない。文化と皮膚の色を一緒にしないで欲しい。
私はフランス人だ。私は文化を持っているが、それが黒い肌の色と一致するものではない。白くても、プジョル、シャビ、イニエスタだって皆違う文化を持っているはずだ」
(昨今のフランス代表のチーム内の問題については?)
「サッカーで勝利を勝ち取るには、賢明な選手が必要なんだ。私はバルセロナに来たとき、とても平等なロッカールームに出会ったんだ。プジョルも、バルデスも、イニエスタも、自分が世界の中心だなんて全く思っていない、普通の人だった。
フランスでは謙虚な姿勢が忘れられている。チームの一員として戦うにはそれが必要だ。自分よりも大きなものを認め、パートナーと理解するからこそ、良いチームができあがる。今はその反対になっている。悪い道に進もうとしている選手がいる」
(ベンゼマがラ・マルセイエーズを歌わなかったことについては?)
「論争はあるだろうね。他であれば何も起こらなかっただろうが。サッカーは世界一ポピュラーなスポーツで、政治家も関心を持っているものだから、それを理解して受け止めればいい。
ベンゼマは一人の大人であり、国歌を歌いたくない。それだけで、別に何も起こしはしていないし、何も起こっていない」
(欧州の政治、社会情勢については?)
「政治がルールを作れない。経済組織、銀行、大企業が政治家よりも大きな力を持っているからだ。政府は何も決定できない。より大きな『お金』という力が働いているからだ。
我々はあべこべな世界に生きている」