チームを賞賛するもレディング戦へ向けて引き締めへ
マンチェスター・ユナイテッドの監督、サー・アレックス・ファーガソンは現在のメンバーはトレブルを達成した1999年のメンバーよりも上だと語っている。以下、『Daily Mail』に掲載されている記事をご紹介しよう。
サンチャゴ・ベルナベウでドローを手にして帰ってきたユナイテッド。次の戦いは月曜日に行われるFAカップのレディング戦だ。既にリーグ戦では2位のマンチェスター・シティに12ポイント差をつけており、1999年のトレブルを再現するのではないかと早くも噂されている。2回目のトレブル達成の可能性について指揮官は時期尚早の質問として退けながらも、現在のスカッドは1999年のチームよりも優れていると答えている。
「(レディング戦は)水曜日とはまた別のチームで戦う事ができる。また違う結果を得られると思っているよ」
現在のチームの層は非常に厚く、ドルトムントで結果を残した香川真司もスタメンの座を確約された立場にはない。しかし、3冠を達成したチームにはピーター・シュマイケル、ロイ・キーン、デイヴィッド・ベッカム、ドワイト・ヨーク、テディ・シェリンガム、そしてオレ・グンナー・スールシャールといった選手が集結しており、現在も現役のライアン・ギグスとポール・スコールズがバリバリでプレーしていた事を考えるとどちらが上か決めるには逡巡してしまう識者も多い。しかし、指揮官はそのチームとの比較に対してキッパリと現在のチームの方が強いと答えたのだ。
「それについて振り返ってみるのは良いと思うよ。当時、私の手元にいたスカッド、今ほどは強くなかったスカッドでどのようにあの特別な時間を過ごしたのかについてね」
「数の上では強いよ。チャンピオンズリーグのファイナルに到達した時、ロイ・キーンとポール・スコールズは出場停止で、ヘニング・ベルクは怪我していた。私はジョナサン・グリーニングのように少しの時間しかプレーしていなかった選手をスカッドに入れなければならなかった。彼はベンチに座っているだけでメダルを手に入れたんだよ。これをそれぞれのスカッドの強さのアイディアとしてくれ」
「今のチームはただ単に4人のストライカーの交換だけではないんだ。チーム全体を変える事ができる。水曜日の試合(=レアル・マドリー戦)にいなかった国際的な選手たちがいたね」
「マドリーがここへ来る時、チームはまた別の物になっているだろう。セカンド・レグでは水曜日にプレーできなかった1,2もしくは3人くらいが戻ってこれる。彼らのような国際的な選手たちがいて、どうしてチームを(トレブルに対して)信頼しないんだい?」
「次の試合に勝利できるチームを作るのが私のやり方だし、レディング戦もQPR戦もノリッジ戦もレアル・マドリー戦も別のチームになるだろうね」
1999年のチームと現在のチームは多くが似ているという。1999年のチームはクリスマス前のミドルスブラ戦に敗れて以降、33試合無敗で駆け抜けた。現在のチームは12月に行われたチャンピオンズリーグのクルージュ戦に敗れて以来、15試合破れていない。14年前のチームと同じ勢いをユナイテッドは見せており、指揮官もそれを感じているようだ。
「良いスピリットがあると感じているよ。明らかにね」
今季のユナイテッドはFAカップの3回戦から登場し、ウェストハム、フラムと対戦。次の5回戦ではレディングと対戦するため全てプレミアリーグのクラブと対戦している事になり、これはトロフィーを掲げた14年前と告示。ファーガソンもそれを指摘している。
ファーガソン監督はノスタルジアに浸ったり、満足感で盲目になる人間ではない。しかし、ファーガソンは如何にしてノスタルジアや満足感が早く消え去るかを知っている。過去のFAカップでウェストハムやポーツマス相手にホームで敗れ去った痛みを忘れていないはずだ。そして、これらの選手たちに対するポジティブな話はチームを引き締める意味合いがあるのだろう。レアル・マドリー戦に全力で挑んだチームがレディングを甘く見る事がないように。
「それによって現実に満足する事はないと思う。特にFAカップはね。何故なら何でも起こってしまうんだよ。衝撃は望まないのは確かだよ」
「多くの人々の目には『レディングだ。そうさ、マドリーへ行ってきたばかりだ。素晴らしい夜だったし、月曜日も大丈夫さ』と映っている。月曜日は言い訳ができない。我々はうまくやらなければいけない」
「我々は全ての相手とFAカップが生み出す衝撃という事実に対してリスペクトしたパフォーマンスを示さねばならない。我々は自分たち自身に苦しめられてきたし、我々は月曜の夜に別のものであることを望んでいない。当たり前じゃないんだ」
ファーガソンは12月のレディング戦を思い出している事だろう。開始34分までに両チームあわせて7ゴールが決まった試合を。試合はそのまま終わりユナイテッドは勝利を得ているが、それ以降GKのアンデルス・リンデゴーアは起用されていない。
「あれは馬鹿げた試合だった。ノミ屋はアーセナルが7-5でレディングを下した試合の様に後半で設けなければならなかっただろうね。あの時、共通意識が後半に引き継がれたよ。選手たちは彼ららしく振る舞い、ゴールは生まれなかった。あれは素晴らしいゲームだったが、また月曜日も同じようになるんじゃないかと疑っているよ」
再びトレブルを達成できるかどうかを議論するには時期尚早だが、ファーガソンの心の中には「このチームで再びトレブルを」という気持ちが隠されているのではないだろうか。
(筆:Qoly編集部 L)