【第9回コパジーコキッズフットサルを訪ねて】

12月9日、寒空の下、味の素スタジアムで行われた第9回コパジーコキッズフットサルにおじゃまさせていただいた。U-10とU-12の2カテゴリー、全96チームが味の素スタジアムの天然芝ピッチの周りの人工芝を8面とって行われる。8面を同時に行われる小学生の大会というのもなかなかお目にかからないが、そのために子どもたちで溢れるピッチ上はとても賑やかであった。

競技としてのフットサル、サッカーのトレーニングとしてのフットサル、この境界は非常に難しいが、少なくとも、「フットサル」が「競技」として認知されたのは、記憶にも新しい先日のフットサル・ワールドカップが非常に影響大きいと思われる。

大人はサッカーをするよりも手軽さから、フットサルをする機会のほうが増えていると思われるが、小中高生が「競技」としてのフットサルを行う機会はなかなか多くはない。 競技として、サッカーから独立したフットサル専門のクラブや部活がより増えてくるといいのだが、ここには時間がかかるだろう。たとえば、フットサルを専門に扱える指導者が圧倒的に足りていないことも現状の大きな課題であり、成熟するまでには時間が必要だ。

この大会でも、フットサル規格のコートの中でサッカーを行なっているチームも少なくはなかったが、このような大規模な大会で競技としてのフットサルを何度も経験することで、徐々にフットサルらしくなるチームも多く見られた。フットサルスクールのチームも参加しており、非常に高レベルな動きを見せる選手やチームもあった。そのように直接見て相手にすることで、影響しあい成長していくのだろう。

日が暮れて大会が終わりに近づくにつれ、日が高かった頃とは明らかに違うプレーをした選手が数多くいた。一日で手に取るように分かるくらいの成長を傍から見ても分かるのだから、子どもの成長とはつくづく恐ろしい。

96チームも集まるこの規模の大会ではあるが、進行は非常にスムーズで、大きなトラブルもなく大会終了まで進んでいった。大人や大学生がフットサルの大会に出ると、審判に泣かされることがしばしばあるが、この大会ではそういったトラブルが見られることはなく、進行のスムーズさの大きな要因に審判のレベルの高さが感じられた。質の高い審判を数多く揃える、この両立はなかなか容易なことではないが、運営のプロによるオーガナイズの素晴らしさを体感できた一日となった。

こうした恵まれた環境は、よりプレーに集中させ、その結果に対して何も問題なく一喜一憂できる。子どもの頃から整えられた環境で集中して試合に取り組めることは非常に重要なことだと感じた。審判に左右されることなくプレーに集中できれば、よりハイレベルな試合を可能にする。そうした環境でプレーした子どもたち、特に準決勝・決勝あたりは目を引くプレーの連発で、この先が楽しみな選手ばかりであった。

フットサルが出来る環境は年々整ってきている。特に都心部では顕著なもので、老若男女問わず気軽に出来るようになりつつある。フットサルコートも年々増えているし、フットサルコートで行われる子供向けのスクールも当たり前になってきている。そのため、ここから先、サッカーのためのフットサルではなく、サッカーと共にフットサル単体としても、もっと盛り上がって欲しいと私は感じる。もちろん共生すべきところもあるが、実際、今回のフットサル・ワールドカップを観た方は、サッカーとフットサルがやはり「別物」であると感じたことだろう。それはカズが参加したことで明確になったことでもある。

フットサル界はまだまだ発展途中だ。だからこそ、その伸びしろに期待したい。

余談だが、参加している子供たちは、大会名に冠されているZicoのプレーをほとんど知らない。

日本代表の監督であった2006年でさえ、参加していた子どもたちは当時3~6歳くらい。いくら『Youtube』で簡単に動画が見つかるとはいえ、「神様」と崇められるプレーを見たことはないのだろう。

「パンフレットに載るZicoをザッケローニと勘違いしない子どもたちがいるのか」と世代を感じると同時に、「こういう子どもたちが新しい日本のサッカーを築いていくのだな」と思うと、少しワクワクした気持ちになった。

大会の詳細はこちらからどうぞ→http://www.zico-futsal.com/copazico_kids/

筆者名 db7
プロフィール 親をも唖然とさせるManchester United狂いで川崎フロンターレも応援中。
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