22日に行われたロンドン五輪アジア最終予選C組第5戦対マレーシア戦は4-0の快勝に終わった。今回の当コラムではこの快勝劇を振り返っていきたいと思う。

まずは、日本代表のスタメンを見ていきたい。


注目が集まった前線の組み合わせは大迫を1トップに置き、原口、東、最終予選初出場となる齋藤を2列目に並べる布陣となった。また、ボランチはセレッソ大阪でともにプレーする山口、扇原のコンビが起用され、キャプテンの山村はベンチから戦況を見守った。


・リズムを掴んだ前半

前節のシリア戦では荒れたピッチの影響からロングボールを多用する展開となったが、結果として自分たちの攻撃のリズムをなかなか掴むことが出来ず、苦戦を強いられた。今回のマレーシア戦もピッチの状態は決して良いものとは言えなかったが、しっかりと最終ラインからボールをつないだことで、自分たちのリズムで試合を進めることができた。

ボランチの2人を中心にボールを回し、シリア戦ではあまり見られなかった良い攻撃の形を作ることに成功した日本代表に先制点が訪れたのは前半34分。右サイドバックの酒井の果敢なオーバーラップが活きた見事なゴールであった。また、前半44分には扇原の右からのフリーキックに大迫が頭で合わせ2点目をゲット。1トップの位置で起用されながらも中々ゴールという結果に恵まれなかった大迫の最終予選初ゴールで着実にリードを拡げることに成功した。確かに多少のパスミスからピンチを招くシーンも散見されたが、前節のシリア戦での反省を活かし、しっかりと修正できたのはこの試合の収穫であろう。

・良いリズムを維持できた後半

サッカー界ではよく「2-0が一番危ない」と言われる。仮に相手に1点を返され、1点差になれば何が起こるか分からないだけに、しっかりと追加点を決めることが重要であったが、若きサムライたちは後半早々に3点目をゲットすることに成功する。右サイドの酒井からのクロスに原口が飛び込みゴールを決めたシーンは原口曰く、「相手もファーのケアが甘いんで、試合前に宏樹君にああいうボールを蹴って、と言ったらあそこを狙ってくれた。自分で決めるだけだと思いました。」という狙い通りの展開であった。

そして、後半15分には扇原の放ったミドルシュートのこぼれ球を齋藤が詰めてゴールに流し込む。マレーシアにトドメを刺す4点目が決まり、試合を完全にコントロールした日本代表は残り時間を上手く消化。大勝が求められた大事な一戦で期待通りのゴールラッシュを披露した。マレーシア戦ではチーム全体が共通意識を持ち、連動したプレーを見せてくれた。


ここからは筆者が思う特に際立ったプレーを見せた選手を発表していきたい。

・原口元気

久々の代表招集となった原口にとって、この一戦は自分の存在価値をアピールする大きなチャンスであったはずだ。実際、試合開始直前の表情はとても集中した良い顔であったが、試合の中では「元気」の名に恥じないハツラツとしたプレーを見せてくれた。特に前半は原口のいる左サイドを起点に攻撃をする機会が多かった。果敢なドリブル突破やボールキープで味方を押し上げ、タメを作ることによって左サイドバックの比嘉が攻め上がるスペースを演出したプレーはマレーシア守備陣の脅威となっていた。後半にはゴールもゲットした原口はこの一戦で更に自信を深めることになったであろう。

・酒井宏樹

この試合では酒井らしさが十二分に発揮された。酒井の魅力である積極的なオーバーラップでゴールを奪い、正確なクロスで原口の3点目をアシストするなど、その働きぶりは特筆すべきものであった。扇原のフリーキックに大迫が頭で合わせた2点目も、酒井が倒されたことによって得たフリーキックがゴールに繋がったということで、日本代表の4ゴールのうち、実に3ゴールに絡んだ酒井。A代表にも選出される実力の片りんを十分に披露したと言えるだろう。

・扇原貴宏、山口螢

セレッソ大阪でもコンビを組むこの2人は、見事に試合をコントロールすることに成功した。扇原は持ち前の正確なパスワークを遺憾なく発揮し、攻撃の起点となっていた。扇原からの縦パスが前線に入ることで、攻撃が活性化されたシーンが多かったのが印象的であった。

また、山口はバランサーとしてチームのバランスを上手く取っていた。相手ボールになった時のファーストプレスの速さは間違いなくチームNo.1であっただろう。終盤になってもスタミナは衰えることなく、泥臭くボールホルダーに食らい付くプレーを何度も見せてくれた山口。山口を関塚監督が全試合でスタメン起用している理由を垣間見ることができた。


この試合の後に行われた同グループのシリア対バーレーンの試合は2-1でバーレーンがシリアを破った。この結果、グループCは日本が勝ち点12でトップ。勝ち点9でシリア、バーレーンが並び、得失点差の関係でシリアが2位、バーレーンが3位となっている。

日本代表は次節の最終戦対バーレーン戦(3月14日、国立競技場)で引き分け以上の結果を手にすることによって、自力でのロンドンオリンピック出場が決まることになった。次節は引き分けで十分とはいえ、やはり勝利でロンドンへの切符を手にしたいところである。厳しい戦いが続いた予選もいよいよ最終章を迎える。逞しく成長した若きサムライたちの集大成を目に焼き付けたい。

2012.2.23 ロッシ

※選手表記、チーム表記はQoly.jpのデータベースに準拠しています。


筆者名 ロッシ
プロフィール 鹿島アントラーズ、水戸ホーリーホック、ビジャレアルを応援している大学生。今シーズンはプレミアリーグを中心に観ていく予定です。当コラムに関する、感想、意見等がありましたら、下記のツイッターアカウントにどしどしお寄せ下さい。
ホームページ
ツイッター @villarreal442
Facebook
{module [170]}
{module [171]}

【Qolyインタビュー】パリ五輪出場の東京ヴェルディMF山田楓喜、トッテナムのクルゼフスキを「自分の究極系」と語るワケ

大谷翔平より稼ぐ5人のサッカー選手