2011-12シーズンの冬の移籍市場も佳境に差し掛かり、補強可能期間は残り1週間ほどになったが、シーズン半ばでの移籍は即戦力としての大きな期待が寄せられることもあり、「あいつの移籍で救われた」、「あの補強は全く意味がなかった」など、シーズン終了後には多くのサポーターたちが鉄板ネタとして語るものだ。
今回の冬の移籍市場における補強の成否を語るにはもう少し時間がかかるため、『off the post』などに寄稿しているライター、ロブ・パーカーがまとめた「プレミアリーグにおける、2002-03シーズンから昨季までの各シーズン別の“最優秀冬移籍”」を元にこれまでのシーズンで見られた大成功例を振り返ってみよう。前編に引き続き今回は後編。
2007-08 ギャリー・ケイヒル(アストン・ヴィラ→ボルトン)
今月、ボルトンからチェルシーへのステップアップに成功したギャリー・ケイヒル。彼はここ数シーズン渡りボルトンで賞賛に値するパフォーマンスを披露してきたが、そのきっかけを作ったのが、2007-08シーズンの途中で行ったアストン・ヴィラからボルトンへの移籍だった。移籍初年度から“ベスト・ニューカマー賞”を受賞する活躍を見せると、以降も安定した守備でボルトンを支え、2010年にはイングランド代表にも参加。最終的には700万ポンドでチェルシーへ移ることとなったが、彼は紛れもなくボルトン史上に残る“ビッグヒット”であった。
2008-09 マシュー・エザリントン(ウェストハム→ストーク)
ネームバリューの面では他の選手に比べると見劣りするかもしれないが、優れた加速力と、左足からの高質なクロスでチャンスを生み出す左利きのウィンガーがストークにもたらした恩恵は計り知れない。「チーム年間最優秀選手」に選ばれるなど、ウェストハム時代にもなかなかの実績を上げていたが、ストーク移籍後に彼自身も大きなレベルアップに成功。チームに欠かせぬチャンスメイカーとしての地位を築き、トニー・ピューリス監督が信奉するサイドアタックの要職を担っている。
2009-10 アダム・ジョンソン(ミドルズブラ→マンチェスター・C)
イングランドでもトップクラスの攻撃センスを誇り、代表監督ファビオ・カペッロを虜にしたこの男も移籍もシーズン中のことであった。“ミドルズブラの下部組織史上最高傑作”と各方面から期待を集めると、リーズ、ワトフォードへのローン移籍を経て、2008-2009シーズンからはトップチームの主力に。翌季にはマンチェスター・シティに700万ポンドで引き抜かれるが、移籍後2戦目でマンオブザマッチに輝くなど、ビッグクラブでもその実力が通用することを証明。今季も凄まじいレギュラー争い中をたくましく戦い、ここまでリーグ戦では15試合に出場して5得点と好成績を記録。シーズン終了後にはEUROでの活躍も期待されることだろう。
2010-11 ダレン・ベント(サンダーランド→アストン・ヴィラ)
アストン・ヴィラが彼に費やした1800万ポンドがかなりの大金であることは言うまでもないが、少なくとも2010-11シーズンの働きだけを考えれば、効果的な補強だった。63試合で36得点という成績を引っ提げてサンダーランドからアストン・ヴィラに加入すると、1.7試合で1得点という驚異的なペースでゴールを量産。最終的には降格圏内に瀕していたチームを9位にまで上昇させた。今季もここまでのリーグ戦で8得点を記録しており、これからも“ヴィランズ”を幾度となく救っていくだろう。