10月5日、スタンフォード・ブリッジで行われた会議において、QIA(カタール投資庁)のCEOであり、ワールドカップ招致委員会の事務局長を務めるハッサン・アル・タワディが大会の準備について発言。これが中東と豪州でどのように報道されたか、比較してみよう。
・中東(アラブニュース) : 『カタール2022は【アラブの春】の集大成』
エジプト、リビア、チュニジアなどで起こっている政治的抗議活動は、この地域を席巻している。社会の再構築と共に、カタールのスポーツも変化してゆく。
「2022年は革命を補完するものになる。多くの訪問者がやってきて、ワールドカップを見る。革命が起こり、新たなスタートを切ってから10数年のお祝いだと感じるだろう。中東は若年人口が多い。スポーツイベントはその情熱を巻き起こすことが出来る。是非カタールに行きたいと思って欲しい」
「政治的な問題による危険性はない。政府からの動きもある」
昨年12月にワールドカップ開催権を手に入れたカタール。新しい美術館を建設し、アルコールも許容する考えを示すなど文化的な革命を行っている。さらに彼はワールドカップ招致に際して行われたとされる汚職疑惑を否定し、あくまでも大会は夏に行うという考えも示した。
カタールは2020年のオリンピック開催にも立候補しているが、これは9月から10月に開催したいと表明している。アル・タワディはこれをマラソンなどのイベントのためであると説明。競技場、トレーニング施設、ファンの為の公園などに冷却システムを完成させるまでに2年の猶予があると述べた。
ホスト国カタールの最大の魅力は、その小ささにあるとアル・ダワディは語る。
「ファンは1日に何試合も見ることが出来る。しかもイベント全体を通して同じ宿に止まることが出来るのだ」
・オーストラリア(AFP通信) : 『カタールは2022年の準備が出来ていない』
2022年ワールドカップ委員会の最高責任者であるハッサン・アル・タワディは、非難の集中砲火に対処しなければならない。
カタールに票を投じるよう、アフリカの2理事に賄賂を送った疑惑。議会によって否定されているものの、内部告発者からはカタールのために働いていたという主張が行われている。
さらに5月にはFIFAの事務局長を務めているジェローム・ヴァルケから、「モハメド・ビン・ハマム(カタール出身の元FIFA理事)が『ワールドカップは買える』と言っていた」と書かれたメールが流出している。
またカタールの猛烈な暑さは、大会を台無しにする危険性を秘めている。
アル・タワディは述べる。
「これほどに批判を受けるとは思っていなかった。根拠のない非難が行われている。なんの証拠もないのに、無罪の我々が有罪と推定されている。最高の道徳的基準に基づいて入札は行われたのだ。そのメッセージを届けるために一生懸命働いた。とても良い広報活動を行っている。いろいろな風説を聞くたびに、胸を痛めてきた」
かつてFIFA会長選挙にあたって賄賂を送ったとして、モハメド・ビン・ハマムは全てのサッカー活動から閉め出されている。
「彼は彼だ。大会は既にビン・ハマムの手から独立している。我々は内部告発者などの主張に辛抱強く対処して乗り切らなければならない」
「(メール問題については)それも同じことだ。失望している。ジェローム・ヴァルケがもしここに出てきたら『それはどういう意味ですか』と訪ねるだろう。入札プロセスに多くのリソースを裂いていたことは否定しない。声を大にして我々のメッセージを伝えようとしたのだから」
またアル・タワディは、ファンが大会中にアルコールを購入できるようにすることを重ねて表明した。
「アルコール飲料は利用できるようになる。もちろん禁止されるところもある。ロンドンと同じようにね。飲み物を楽しみながら観戦したいファンの方の要望に応えられるだろう」
(筆:Qoly編集部 K)